人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(41)

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第五章。
追加登場人物・三人の魔女トロール&子だくさんの母トロール(ミムラ夫人)。
ミムラ夫人、ミムラやミイの母親。35人の子を持つムーミン谷一多産な夫人。本人同士も知らないスナフキンの実の母親。
三人の魔女トロール
その一、トゥーティッキ。帽子にシマシマの服を着た気のいい女性。冬眠から目覚めたムーミンに冬の暮し方を教える。
その二、モラン。通った道は凍りつき、長く座った場所には何も生えなくなる。世界一冷たい灰色の女の魔女トロール
その三、フィリフヨンカ。フィリフヨンカ族の女性。フィリフヨンカ族はきれい好きで神経質で気が小さいのが共通点。

長い悪夢を見ていた気分なのはスナフキンに限らず、ムーミン谷に結界を張る三人の魔女も同じでした。この三人の魔女は協力して結界を張り、ムーミン谷の存在が全世界に漏洩するのを守ってきましたが、おたがいの存在は知らずにいたので自分たちが結界を張っていることも知らなかったのです。
ですからこの結界は内部からの流出は防ぐが、外部からの刺激は侵入を許す、という、いびつなものになりました。これを身近なものにたとえるとコンドームがあります。あれは漏れては意味がありませんが、刺激まで遮断してしまったらおしまいです。
または避妊具ならペッサリーを引き合いに出せば、膣内に直接射精されても子宮への侵入は防ぎますから、この方がより結界の性質に近いとも言えます。しかし結界の目的は内部からの漏洩防止なので、その点ではコンドームに近い。避妊具にたとえるのが無理があるのでしょう。
トゥーティッキ、モラン、フィリフヨンカの魔女トロール三人はまだ知りあっていませんでしたが、それはおそらく魔女たちの存在が続く限り続くことでした。三人は自分たちが魔女だとすら気づいていなかったからです。そうなるべくして魔女を封印しているのが、魔女封印の魔力の代償に、35人の子だくさんになったミムラ夫人でした。しかも母子家庭なのは、やはり魔力の代償に故ミムラ氏が最後の交接で落命し、子種だけが生き延びてミムラ夫人夫人を自動妊娠させてきたからです。
魔女封印の魔力発動と引き替えに起ったのはミムラ氏の腹上死だけでなく、スナフキンとの母子関係の忘却もありました。魔力は過去をも改変したのです。
ですが谷にはまた異変が起ろうとしていました。