確かにミッフィーは私たちのリーダーよ、自分から私たちの分まで働いてくれるわ、とメラニーは変装用のリボンを外しながら言いました、それに私たちは全員友だちだし(とウインをちらっと見て)、友だちのことを悪くなんか言えるかしら。そう言ってメラニーが顔を向けたのがアギーとバーバラが並んでメイクをしていた席の方だったので、アギーとバーバラは思わず顔を見合わせました。アギーたちは最近の流行りに乗って全席禁煙のお店にするのってどうかしら、いきなりじゃ何だからまず半年は分煙で、ついでにゴミ箱も撤去してゴミは持ち帰りで、そしたら手抜きできて一挙両得よね、といかにも昨今のサーヴィス業者らしい会話に花を咲かせていたのです。
つまりはほとんど話を聞いなかったので、メラニーとウインの間に何か意見の行き違いがあり、それについて意見を求められているんじゃないかと考えました。当たらずとも遠からずと言うべきか、まるで的外れと言うべきか、メラニーとウインはまったく別々のことを考えてはいましたが、意志の疎通すらなかったのですからそもそも論議そのものが存在していなかったのです。ミッフィー不在では彼女たちはセーラームーンのいないセーラー戦士たちのようなものでした。うさぎちゃん!
ええと何かしら、とバーバラとアギーは顔を上げると同じようなことを口を揃えてつぶやきました。ミッフィーのことよ、どう思う?どう思うって……。わからない?何を訊かれているのかも、確かにアギーたちにはわかりません。ミッフィーは頼りになるリーダーってことよ。ええ、そうね、それに友だちだし。そこよ、とメラニーは言いました。
そこよ、とメラニーは言いました、ミッフィーは頼りになるリーダーで、それに何より友だちだわ。でもナインチェはどうかしら?
あの、私よくわからないんだけど、とアギー、ミッフィーはナインチェよね。そうそう、とうなずくバーバラ。それにナインチェはミッフィーよね。そう思っていたのが間違いだったのよ、とメラニーは言いました。
そう思っていたのが間違いだったのよ、とメラニーは言いました、さっきの店にみんなで行って、初めて気がついた気がする。私たちはお客で行ったから、もともとの名前に戻っていて、あのお店ではミッフィーはナインチェだった。でもハローキティはきっと私たちの店にお客で来ても、やっぱりハローキティのままに違いないのよ!
第二章完。