人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(22)

 アギーはひと見知りで、仲間うちでつるんではいてもウインとバーバラとはミッフィーメラニーを間にしてしかあんまり会話したことがありませんでしたが、ハローキティのお店を視察して戻ってからはバーバラとは何となく親しくなっているのに気づきました。化粧室は特に席は決まっておらず各自持参の化粧品箱をロッカーから出してくるのですが、ウインやメラニーはやたら手早いか入念か神経質なところがあり、たいがいはのろのろとやっているアギーは隣あわせると落ちつかないのです。のん気なバーバラもアギーと同じように感じているようでした。特に今日、敵情視察(?)から戻ってからは、クールなウインはいつも以上に人を寄せつけない雰囲気で、世話焼きのメラニーは捕まったら最後この先々の人生設計までこと細かにアドヴァイスされそうでした。
 つまりウインとメラニーは、ハローキティの店を覗いてきて内心の動揺が激しく、ふだん通りにふるまおうとしている分だけ身ぶりが大きくなっていると思われました。私は鈍いだけかもしれないけど、とアギーは思いました、バーバラがいつも通りなら私もそうしていよう。化粧室での仕事の支度はお掃除(仕事上がりは散らかしたまま帰ってしまうので)とお化粧ですが、鏡のついた化粧台は2席、化粧台が埋まっていたらテーブルに化粧箱を置いて箱の裏蓋の鏡でお化粧することになります。掃除との順番や席順は特に決まっていません。今はみんな外出から戻ってきて、耳に変装用のリボン(こねこに化けるならこれよ、とミッフィーが調べてきたのです)をつけたままでひじをついてテーブルを囲んでいました。
 飲み物持ってこようか、とウインが言いました、みんな好きなのを言ってよ。あ、私が行くよ、とメラニーが先に立ち上がったので、みんなはにんじんジュース、バーバラはりんごジュースにしました。飲み物を取りに行ったのがメラニーだったので、アギーは少しほっとしました。ウインが取りに行ったらアギーとバーバラはメラニーの餌食です。ウインはウインで威圧感を感じさせますが、ウインの無口は悪気があってのことではないはずです。メラニーも自分が飲み物を取りに立ったところで陰口をたたくほど度胸のある連中ではない、となめきっている面もあるのがわかりましたが、いない仲間の陰口など叩くのは誰しも後で嫌な気分になることでした。幸いメラニーはすぐに飲み物を持って戻ってきました。