人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新編☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(47)

 私って不幸だわ、ハローキティはボヤきました、人生は一度きりだっていうのにどうしてこんなまずいお茶を飲まなきゃならないの?また始まった、とデイジーたちはげんなりしましたが、好きほうだい言わせておくしかありません。誰が淹れたの?ミミィ、ミミィ!まともなお茶を淹れなおしてきてちょうだい。やっぱり私に来たか、とミミィは思いました。やっぱりミミィに行ったわ、とデイジー姉妹は思いました。ミミィならともかく、これがキャシーやデイジーにまでおよぶとキティのメランコリーも容易に引き返せないほど重傷、ということになります。不幸なのは私たちの方だわ、とデイジーたちは思わずにはいられませんでした。こんな地の果てみたいなところまでハローキティにつきあわされてきたあげく、幼稚なわがままにまで相手をしないわけにはいかないとは、腐れ縁どころかとんだとばっちりです。
 私って不幸だわ、とハローキティは今度は自分に言い聞かせるように言うと、左耳にリボンを結んでいた頃はあんなに自信に満ちていて、世界は自分の思い通りのものみたいだったのに、とますます悲嘆の念に駆られるのを感じました。あれは単なる錯覚だったのでしょうか?もし錯覚だとしたらあのリボンにはなんというキティちゃんにおよぼす強大な力があり、錯覚でないとしたらあのリボンはどれほどキティちゃんから力を引き出していてくれていたことでしょう。ところがハローキティのリボンは謎のように消えてしまったのです。まさしく謎、他に呼びようもないことでした。
 ミミィが台所で紅茶の支度をしていると、キャシーたちもやってきました。やばいよ、入っちゃってるよ、とデイジー、あんなんじゃマイメロの話、切り出せないよ。紅茶にラム酒でも入れる?とキャシー。いや、お酒はなおさらやばいでしょ、とデイジー、それより今はあの私って不幸だわから気を逸らさなきゃ。
 双子の妹ならわからない?と訊かれて、ミミィはうちは特殊だから、と困ったように答えました。特殊って?私は正確には普通に言う双子じゃないの。じゃあ何なの、と長いつきあいなのにそんなの初耳のデイジー姉妹は訊きました。バックアップみたいなもの、と言ったらいいかしら。もちろんさらにバックアップもいるけど、双子以上は不自然でしょ?
 デイジーとキャシーは慄然としました。バックアップ!?もしもそんなことが本当なのなら、私たちだってやろうとすれば……