人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(67)

 やっぱり大事なのは貞操観念よね、と飲むだけではあまりにヒマなので、デイジーがいかにも唐突に言い出しました。それって例えばどんな?とダイキリをデイジーのカウンター席に置きながら、メラニー。項でも目でも属種でも、まあ多少の違いはあるでしょうけど、とデイジーハローキティとハローミミィはねこだし、こちらのお店のあなたたちは(くまもいるけど)私やキャシーと同じうさぎよね。でもあなたはアフロ系のうさぎだし、私たちはアーリア系のうさぎ。それでも貞操観念というのは人種や文化を超えて絶対的なラインがあるんじゃないかと思うのよ。ねえキティ、とデイジーがいきなりミミィに振ったので、ミミィはようやくミッフィーのお店に入る前に耳のリボンを右耳から左耳に結び直させられた意味を察しました。これは敵をだますにはまず味方からという、いかにもデイジーらしい作戦です。
 留守のあいだのお店はダニエルにお願いするとしても、こんなにライヴァル店の私たちがぞろぞろ押しかけて大丈夫かしら、とミミィは心配したのですが、たかだか3人だけじゃない、しかも私とキャシーはうさぎだし、とデイジーに丸めこまれて、ハローキティの店の3人はミッフィーのお店にやって来たのです。お店に入る直前に、デイジーはキャシーに持たせた金属バットをギュッと握ると、金属バットは魔力をおびて色鮮やかにでこぼこな武具に変型しました。これで身を守るくらいの役には立つの?とミミィが訊くと、マイメロが出てきて私たちと知りあいのような口をききそうだったらぶっ飛ばすのよ、とデイジー
 幸いマイメロは日ごろの働きが認められて、裏口でひたすらじゃがいもの皮剥きを命じられていました。ミッフィーのお店にとってはマイメロの冷遇はマイナスで、元祖カマトト萌えキャラのマイメロディは「お・ね・が・い?」ひとつでお客さんにどんな高いオーダーでもばしばし追加させられるのです。ちなみにお店の最低料金は水割り1杯2500円で、歌舞伎町のキャバクラよりはまだ良心的といったところでした。そんなマイメロを接客に出さないのは、ミッフィーが調子を取り戻した今、ひとつのお店に女王さまはふたりはいらないという従業員一同の暗黙の判断からでした。こういう女社会のルールは合理性とは別物なので、部外者が口を挟むものではありません。また、マイメロを秘密の切り札にしておくのも営業方針としては悪くありません。