ほな行こか、と中ノッポがうながすと、水泳パンツ1枚になった大ノッポ、チビの3人は波打ちぎわに沿って遊びに手ごろな浅瀬を探しに歩き出しました。カモメがカーと鳴きました。海水パンツ1枚になった大ノッポ、中ノッポ、チビの3人は波打ちぎわに沿って遊びに手ごろな浅瀬を探しに歩き出しました。カモメがカーと鳴きました。海水パンツ1枚になった大ノッポ、中ノッポ、チビの3人は(人と呼べるとすればですが)波打ちぎわに沿って遊びに手ごろな浅瀬を探しに歩き出しました。あるいは歩き出しませんでした。カモメがカーと鳴きました。または鳴きませんでした。
波が岩に砕けました。
もういいかしら、とアリスは訊きました。白ウサギはさっきまでとはうって変わって気乗りのしない様子で、まあいいでしょう、と返事をよこしました。アリスは無責任だわ、と白ウサギの態度を不満に思いましたが、ここで仲間割れを起こしても、と言い出しっぺの追及はしないことにしました。でもよく考えてみたら仲間割れも何も、白ウサギとアリスは仲間どころか友だちですらなく、むろん仇敵というほど恨みあう仲ですらありません。一緒になって地球の裏側(?)まではるかな時間をかけて落っこちてきただけです。
カモメが鳴きました。カー。
ぼくらは何でまた海遊びしなければならんのや、と中ノッポがこぼしました。こないなことしていても、いっこう何もはかどらんのやで。またじわじわと真綿で首を絞められるような目に会うだけや。
チビが小声で言いました。カー。
ぼくらが服を置いておかないと、と大ノッポ、アリスたちが盗めないじゃないか。そうしないといつまでたってもこの話は始まらない。
そなこと、これで何度目や?と大ノッポ、ぼくたちが服を盗まれるのは。いくら10歳の少女とウサギやからって学習能力ないんか?
同じアリスが落ちてくるとは限らない、と大ノッポが言いました、それでもアリスと白ウサギは次から次へと落ちてくる、そういうふうになっているんだから仕方がないよ。
まだ待つの?とチビ。
急ぐことはないさ、と大ノッポ、いつまで待っても今すぐにでも、同じことだ。
アリスと白ウサギは砂の中にひそんだまま機会をうかがっていました。まだ待つの?とアリス。急ぐことはないさ、と白ウサギ、いつまで待っても今すぐにでも、同じことだ。
腹話術でも習おうかしら、とアリスは思いました。
第8章完。終わり。