この1週間で3kg近く痩せてしまった。人によりけりと思うが、筆者はなかなか体重が増えない替わりに減る時は一気に減る。風邪でもひいて寝込もうものなら数日で軽く5kgは痩せる。今回は鈍く重い腹痛が1週間続き、吐気こそないが便通が不規則で状態も悪く、ずっと腹部が張って苦しくて堪らなかった。起きていられないほど苦しいのでほとんど寝込んでいたが、睡眠の質も非常に悪く悪夢ばかり見た。家族、友人、知人、仕事関係者などと嫌悪しながら陰険な関係を断ち切れない夢で、目が醒めるとホッとした。夢で良かった。現実にはすでに彼らの誰とも縁が切れている。ただし目覚めるごとに冷や汗で悪寒がした。熱っぽかった。腹部は相変わらず張って苦しい。風邪もひいたかな。それよりこのひどい腹痛、胃癌や腸の癌だったらどうなるかな。もし余命もわずかだったら、今では音信不通の誰かに知らせておこうと思うだろうか。さっきまで見ていたあれこれの悪夢を思うと、死ぬまでにせめて一度でも再会したいと思う相手は誰も思いつかなかった。それを言えばこの腹痛が一時的なことでも同じことで、いつかまた、なんとかしてでも会いたいと思う人は思いつかなかった。まだ10代のうちに亡くした母、今はもう故人になった数人の友人・知人しか思いつかない。
成人病予防で定期通院している内科クリニックに症状を話すと、感染性胃腸炎と診断されて処方をもらった。処方薬はたちまち効いた。筆者はチョロい体質なのでプラシーボだって効くに違いない。胃腸炎とは消化管(胃および小腸)の炎症を特徴とする疾患であり下痢、嘔吐、腹痛および腹部痙攣などの症状を呈する。症状および徴候は通常感染から12~72時間で発現しはじめる。感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)の場合症状は通常1週間以内に軽快し発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛を伴うことがある。血便がみられる場合ウイルス性である可能性は低く、細菌感染が疑われる。一部の細菌感染では重度の腹痛を伴い、数週間続くことがある。30代後半~40代前半には慢性的な感染性胃腸炎を患って完治しなかった。血便もあったから細菌性胃腸炎も併発していたことになる。気管支喘息ともども完治したのは家庭生活から離れて一人暮らしになってからだ。当時は服薬したとしても多少の軽減程度しか期待できなかっただろう。それに人間関係の多く、生活習慣の多くに責任と未練を残していた。今はようやくどちらとも縁が切れた。かつて本物の独房に禁錮されたことがあり、あの時はここから出るまでは耐え抜くのだと必死で自分を支えていた。今はむしろ生活を独房と同じように過ごして悔やまない。このまま誰にも会わずに生きていければと思う。胃腸炎に苦しんでわかったのは、自分がそういう人間になっていることだった。