人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ヘンリー・グライムス・トリオ Henry Grimes Trio - フィッシュ・ストーリー Fish Story (ESP, 1966)

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ヘンリー・グライムス・トリオ Henry Grimes Trio - フィッシュ・ストーリー Fish Story (Henry Grimes) (ESP, 1966) : https://youtu.be/pdN85gIpuw8 - 4:31
Recorded on December 28, 1965 in NYC.
Released by ESP Disk 1026 as album "Henry Grimes Trio - The Call", 1966
[ Personnel ]
Henry Grimes - bass, Perry Robinson - clarinet, Tom Price - drums

 ヘンリー・グライムス(1935-)と言えば'50年代後半から活動を始め、ジェリー・マリガンリー・コニッツソニー・ロリンズレニー・トリスターノらメインストリームの一流ジャズマンのサイドマンを勤める傍ら、'60年代初頭からはセシル・テイラーのアルバムに参加したのを手始めにアルバート・アイラーアーチー・シェップ、ファロア・サンダースらニュー・シング(フリー・ジャズ)系ジャズマンのアルバム参加に主力を移す一方、ロイ・ヘインズの名盤『Out of the Afternoon』'62への参加もあるなど不思議な立ち位置のベーシストでしたが、そのグライムスの唯一のリーダー作として知られてきたのがこの『Henry Grimes Trio』で、リリースはフリー・ジャズ専門のインディー・レーベルESP、編成はちょっと他にめったにないクラリネット、ベース、ドラムスのトリオという、かっこいいジャケットだけれどピアノレスのサックス・トリオならともかくベーシストがリーダーのクラリネット・トリオ?とあまり聴く人もいないアルバムでした。実は本作に先立ってクラリネットのペリー・ロビンソン(1938-)のアルバム『Funk Dumpling / The Perry Robinson 4』'62(Savoy)という知られざるアルバムがあり、ロビンソンとグライムスにビル・バロンのピアノ、ポール・モティアンのドラムスのカルテットで、本作も全6曲中グライムス4曲・ロビンソン2曲というオリジナル曲ですが、サヴォイ盤も全7曲中ロビンソン4曲・グライムス3曲のユニークな秀作で、グライムスとロビンソンはサヴォイ盤からESP盤まで3年越しのチームだったのでしょう。ドラムスのトム・プライスは'65年前後にESPのアルバムでだけ名前を見かけるドラマーですが、テクニカルではなくともセシル・テイラーアルバート・アイラーのドラマーだったサニー・マレーのパルス・ビートをマスターしたなかなかのセンスを見せたドラマーです。
 グライムスは'60年代末にジャズ界を退き、'80年代~'90年代には死亡説まで流れて各種ジャズ辞典では故人扱いされ、ペリー・ロビンソンは若手ピアノ・トリオと組んだカルテットで『Funk Dumpling』の続編的なアルバム『Call To The Stars』'90(West Wind)を発表し、グライムスのオリジナル曲を再演し、「Henry's Dance」という新曲のオマージュ曲を録音しています。ところが2002年、ジャズ雑誌のライターが旅行先の地方都市のホテルで「Henry Grimes」と名札をつけた従業員を見つけ、ヘンリー・グライムス本人と判明。以降グライムスは伝説的ジャズマンとして現役演奏活動に復帰し、グライムス本人名義のアルバム6作、参加作もほぼ同数で、かつての現役時代の回想録まで出しています(『Henry Grimes, signs along the road』buddy's knife jazzedition, 2007)。長年唯一のグライムスのアルバムとされてきた『The Call』は全曲かっこいいので、アルバム全編のリンクも上げておきましょう。'60年代ジャズの珠玉作のひとつです。
Henry Grimes Trio - The Call (ESP, 1966) Full Album : https://youtu.be/xxs0tmX6ais