人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

The Doors(その1)

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現在ドアーズの全アルバムはすべてリマスターされて、それどころかリミックスでヴォーカルや楽器まで差し替えられていてこりゃないよとみんな泣いています。デヴュー曲'Break On Through'もヴォーカルに改変があって、30年来アナログ盤と旧規格CDで聴いてきた人間には違和感があります(はっきり言って改悪だと思います)。CDで聴くなら旧規格盤をお奨めします。皮肉なことにリマスター盤のおかげで旧規格盤は二束三文になっています。

ドアーズの音楽を長く聴き、いろいろ知ると、ジム・モリソンを中心にドアーズを聴くのはどうもバンドの実態に即していない、と最近の21Century Doorsの活動からも感じます。白人男性にとってジム・モリソンの唱法はもっとも真似しやすく、本人もマディ・ウォーターズハウリン・ウルフのような「本物」には劣等感を持っていたという証言もあります。ジム・モリソンの音楽的な将来性を考えると、にわかに結論は出ない感じです。

例えばジミ・ヘンドリックスヴェルヴェット・アンダーグラウンドは音楽的に後世に大きな影響を及ぼしました。ジャニス・ジョプリンも音楽的な影響に絞っただけでも重要なアーティストです。だがドアーズは、イメージ的な追従者はいても音楽的な後継者はいません(ごく地味にドアーズの影響をかいまみせる同時代のイギリスのバンドがあったのを思いつくくらいです)。

ドアーズも当初はビーチ・ボーイズザ・バーズの成功を追うL.A.のガレージ・パンク・バンドに過ぎず(ザ・シーズ、チョコレート・ウォッチ・バンド、エレクトリック・プリューンズらと共に)、NYのフォーク・レーベルのエレクトラがブルース部門に続きロック部門進出に当ってまずデヴューさせたのがラヴ、次にザ・ドアーズでした。
ラヴはザ・バーズ以来L.A.最高のバンドと定評がありましたが、オン・エアやチャート進出には決定的な弱点がありました。黒人ヴォーカリストがリーダーの人種混合バンド、その上ツアーには一切出ない。
この先輩を踏み台にして、ドアーズはデヴューします。

図版の下はザ・ドアーズのデヴュー・アルバム「ハートに火をつけて」1967、上はドアーズが参考にしたローリング・ストーンズアフターマス」1966、中はラヴの最高傑作「フォエヴァー・チェンジズ」1967です