人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジャックスの世界

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ジャックスは1968年にデビューし翌年には早くも解散した日本の伝説的ロック・バンド。当時全盛を極めたグループ・サウンズともフォークともまったく異なる音楽性と立ち位置で、フォーク・クルセダーズと共に日本のアンダーグラウンド/オルタナティブ・ロックの先駆と言うべき存在。70年代にはジャックスの影響力は直接・間接的に裸のラリーズ村八分頭脳警察といったバンドに現れる。ジャックスを含めてこれらのバンドを論じる前に、同時期に国際的に活動していた女性アーティスト、草間彌生さんと小野洋子さんを参照する。

草間さんは小野洋子さんと並んで先駆的なフェミニズムのアーティストだと理解はできるが、自意識の強さがかえって発想を平坦化させているという感想も持っている。インターナショナルすぎるのか、そうする必然があるのか。たとえば「マンハッタン自殺未遂常習の歌」などピーター・ガブリエルそのままだ(草間さんの方が早いが)。
70年代のロック・フェスティヴァルのテレビ用記録映画で、スポンサーに小野洋子がついたとたんに大反対していた市会議員が手のひらを反す場面があった。「このたび、三井財閥令嬢である小野洋子さまを迎え…」この記録映画、老若男女問わず様々な人に取材しているが、言葉がとても聞き取りづらい。そして小野洋子のスピーチ、「私は郡山は初めて知った町ですが…」を聞いてハッとした。洋子さんは明瞭な発声で的確な言葉づかいをしていて30年以上経っても聞き取れる。町の人たちは身近にしか通じない言葉でしか喋れない。
おそらく草間さんも小野さんも本能的に聡明で、その上Artという概念を西洋の文脈できっちり捉えている。そこがなんだか居心地悪いのだ。

ジャックスを解説する紙幅がなくなりそうなので次回まわしにし、図版だけでも説明する。上から
●ジャックス「ジャックスの世界」(1st.1968年)
●ジャックス「からっぽの世界」(デビュー・シングル/同年)
早川義夫「かっこいいことはなんてかっこわるいんだろう」(リーダー早川のソロ・アルバム/1969年)
●「LEGEND」(「ジャックスの世界」「ジャックスの奇蹟」の2作にラジオ出演のスタジオ・ライヴ「Echoes In The Radio」、アルバム未収録音源を加えたボックス・セット)
●「腹貸し女」若松孝次監督作品のサウンドトラック