人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ボブ・ディラン『女の如く』

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 原題'Just Like A Woman'、アルバム「ブロンド・オン・ブロンド」'Blond On Blond'1966収録。当時の動向はディランの「追憶のハイウェイ61」とビートルズの「ラバー・ソウル」ショックでストーンズは「アフターマス」、ザ・バーズは「昨日より若く」、ビーチ・ボーイズは「ペット・サウンズ」を制作。驚異の新人フランク・ザッパが2枚組デビュー作「フリーク・アウト」でたちまちカリスマ的人気。そしてビートルズの「リヴォルヴァー」がすべてを薙ぎ払い、ディランは、というと初の2枚組で発表したのがこのアルバム。ロック転向から1年半で3作のアルバムを出し、66年7月にディランはバイク事故で1年半の療養生活に入る。このアルバムが遺作になる可能性もあったわけだ。そしてこのアルバムはまぎれもなくディランの創作力の頂点をきわめた作品だった。

『女の如く』

だれも苦痛を感じない
こうして今夜おれが雨のなかに立っていても
みんな知ってる
あの娘が新しい服を手に入れたのを
だけどおれはこないだ彼女のリボンの結び目が
巻き毛から垂れているのを見てしまったよ
彼女は女みたいに振る舞う、そうさ
彼女は女みたいに愛する、そうさ
そして彼女は女みたいに痛がる
だけど少女みたいに壊れやすいんだね

クイーン・マリーはおれの友だち
そうさきっとおれはまた会いに行くよ
でももちろんあの娘は
祝福されはしない
霧と覚醒剤と真珠で
他の娘たちと同じだとわかるまで
彼女は女みたいに振る舞う、そうさ
彼女は女みたいに愛する、そうさ
そして彼女は女みたいに痛がる
だけど少女みたいに壊れやすいんだね

最初から雨だった
おれは渇きで死にそうだった
だからここへ来た
きみの長年の呪いで傷ついた
でももっと悪いのはここでの苦痛さ
明らかじゃないか…

おれはぴったりしない
そうさ、もう別れの時が来たんだ
もしまた出会って友だちだと紹介されたら
それまでおれを知らなかったことにしてくれ
世界がきみのものだった時おれは飢えていたのを
彼女は女みたいなふりをする、そうさ
彼女は女みたいに愛する、そうさ
そして彼女は女みたいに痛がる
だけど少女みたいに壊れやすいんだね
 (前記アルバムより)