人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

続「つる姫じゃーっ!」

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どうもです。つる姫支持者もひとりくらいいるだろう、と期待もしていませんでしたが、まさかいらっしゃるとは。しかも予想もつかなかったかたから(笑)。
これが、だいぶ時代は下りますが「有閑倶楽部」あたりだったら老若男女問わず「あれ面白いね」という感想も、手に取る機会も少なくないでしょう。つる姫の場合はあくまでもオン・タイムで接した読者に限られてくると思われるのです。
たしかにコミックスという形で残されてはいます。ですが連載終了後10年を経て古書店で集めた「つる姫じゃーっ!」全11巻はすべて初版第一刷でした。

小児的というのは悪い意味はこめていません。あまり好きではない言葉を使えば、純真無垢な理想主義ということです。ただ、つる姫の場合は下ネタ(性ではなく生理的汚物のほう)が多いのは単純な意味で小児的だとは思います。

「下ネタ」が性を指すか生理的汚物を指すかは、昭和10年代生れまでの人には関東と関西で異なっていた、と某作家のエッセイ(エノケン秋田実の研究で)に指摘されていました。おそらくテレビの普及以後この区分は崩れた(または戦後ベビーブーマーの全国的拡散以後)と思います。

「つる姫じゃーっ!」は生理的汚物の下ネタのみですが「ガキでか」では汚物と性の両方です。少女マンガの性表現は、弓月ひかるという例外を除いて抑制され暗示的でシリアスなものです。

ぼくは女きょうだいはいないし、当時は少女マンガと少年マンガははっきり別のものだったから女の子と貸し借りもない。ただ、掛かり付けの小児科(北原白秋晩年の弟子の歌人。日本歌人体系などにも載ってる)がお嬢さんばかりらしく、置いてある雑誌で週マのつる姫なら男の子でも面白かったのです。
当時の週マの連載陣がいかに凄かったかは色気づいた頃にガールフレンドから教わりました(その子自身は24年組、少コミ、花ゆめ、LaLaが好みでしたが)。

当時のマンガのコマ割は4段が基準だから(現在は3段)コミックスで読むつる姫は細かいですね。ラスト数話は殿に美人で優しい後妻ができて、素直に受け入れる気持になるため家老と一緒に旅に出るんですよね。こういうことは先に書けばいいのに、シャイなものですので(笑)。

今回調べてしみじみしたのは、作者25歳~31歳の作品なんですね。この人はこの1作で残るんでしょうね。