人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(10)イタリアのEL&P、レ・オルメ

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記念(何の?)すべき第10回はタイトル通りイタリアのエマーソン・レイク&パーマーと呼ばれたレ・オルメ(Le Orme,1968-)です。代表作は「包帯の男」1972(画像1)と「フェローナとソラーナ」1973(画像2)、まるでアルフィー(別れた妻が好きでした)のように根強いファンとしつこい活動が続いているのは09年に71年~80年の10枚と90年の復活アルバムをセットにした11枚組全集(画像3)が出ていることでもわかる。71年以前のアルバムを含まないのは、元々レ・オルメは5人組のイタリアGSだったので、本格的なトリオ編成になった71年の「コラージュ」を出発点としているわけです。アルフィーが初期メンバーは4人だったり、坂崎幸之助をリーダーとする抒情派フォーク・グループ(高見沢俊彦がリーダーになってからブレイク)というのとよく似ています(別れた妻の入れ知恵)。いやあ音楽で世界はつながっているんですね。完。

…としたいところだ。本国での人気は実際に見てきたわけではないから本当のところは知らないが、73年のライヴ・アルバムがイタリアのロックでは初のライヴ盤だったり、不況に弱いイタリアでも着実なリリースを重ねてディスコグラフィを伸ばし、全集はおろか過去の全アルバムが単体のリマスターCDで発売されている。本当に人気があるのだとしか思えない。

しかも日本のユーロ・ロック愛好家にも人気がある。70年代からフィリップス(現ユニヴァーサル)でアンジュ(仏)やバッジー(英)と同じシリーズで日本盤LPが廉価盤で出ていた。イタリアだったらジャンボだってフィリップスなのに出たのはレ・オルメ。本国での人気を反映したのだろう。
廉価盤だからジャケットがチャチかった。カラーでオリジナル・ジャケット通りなのは表側だけで、裏はモノクロ印刷の日本語解説と歌詞だけ。昔のジャズやクラシックのレコード・ジャケットと同じだ。レコードの解説・歌詞カードを慣習的に「ライナー・ノーツ(裏面解説)」という本物をロックのレコードで初めて見た。いったいフィリップスは本気で売る気があったのか?日本フィリップスの契約ノルマだったのではないか?(バッジー…)

でもレ・オルメいいね、という日本のファンも大勢いるのだ。今でも。案外筆者もそのひとりかもしれない。たまに聴いては食い足りないなあと思うのだ。