テレビ・シリーズは11.2-12.1放映、玩具売上107億円でシリーズ歴代4位と健闘(5位は「プリキュア5」「5GoGo」105億円、上位3作は前作「ハートキャッチ」125億円、第2作「Max Heart」123億円、前々作「フレッシュ」119億円)。頭身大きめで色彩も淡かった「ハートキャッチ」から今回は初の八頭身に近いプリキュアになり、音楽をモチーフとする(タイトルの「スイート」はSuite=組曲)。
舞台となる異世界は善良な人々の世界「メイジャーランド」と、侵略者ノイズが支配する「マイナーランド」で、メイジャーランドは近世ヨーロッパの地方都市をイメージさせる街並み。幼なじみの響と奏は、メイジャーランドの国王メフィストがノイズに操られたため伝説の戦士プリキュアに救援を要請するよう女王アフロディテから使わされた猫妖精のハミィに見込まれキュアメロディ、キュアリズムに変身する。
メフィスト配下の幹部は猫妖精のセイレーンでハミィの幼なじみ。元はハミィとメイジャーランドの歌姫の座を競った仲だったが挫折感から悪の手下へ。だがハミィとの友情からプリキュアに覚醒しキュアビートとなり、人間体ではエレンと改名する。
さらに戦闘に加わらず高所から監察する謎の覆面プリキュア。正体は響たちの住む人間界の町のオルガニスト・音吉さんの孫で響の弟の友人アコちゃん(キュアミューズ・小三。初の小学生プリキュア)。実は音吉さんはメイジャーランドの先代国王、アコちゃんはメフィストとアフロディテのひとり娘でメイジャーランドのお姫様だった。
ミューズは父との対決を避けて参戦せず見守っていたが、父への呪縛を解くためついにプリキュアの仲間に加わり、メフィストを正気に戻すことに成功する。
-ここまでがテレビ・シリーズ36話(全48話)までの展開で、「映画スイートプリキュア♪とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ」(11.10・監督=池田洋子・東映配給・70分)はプリキュア映画としては初のテレビ・シリーズに連なるエピソード(36/37話の間)になる。「映画ハートキャッチ」に続き女性監督の第1作、しかも女児向け作品未経験監督を起用。結果は、更生した中年国王が愛妻を救うため奮闘する異色作に。前作・前々作の突出した人気によく迫った、地味ながら出色の作品になった。(続く)