人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(7)東西実力派・先駆的裏方営業GS

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寺内タケシ、ブルー・コメッツ、ザ・スパイダースは一応有名処という前提でお送りしているこのシリーズだが、あとせめてザ・タイガース、ザ・テンプターズはご存じだろう。だが、タイガース&テンプターズの前に特筆したいバンドがいくつもあるのだ。まだGSそのものがブームになる前から活動していたバンド群になる。

ザ・サベージが画期的だったのは芸能プロダクションが立ち上げたバンドではなく、自発的な学生バンドだったことだった。タイガースやテンプターズも学生バンドを芸能プロがプロ・デヴューさせた例で、これがビートルズ・ブーム以前と以降のGS事情を分ける(ザ・ゴールデン・カップスなど横浜の不良だった)。ザ・ワイルド・ワンズやザ・ジャガーズなどは芸能プロ所属のリーダーが立ち上げた例になる。

今回紹介するバンドは芸能プロがエレキ・インスト・バンドをスカウトしてグループ・サウンズに再編入、デヴューさせたもので、スタジオ・ミュージシャンとしても重用された。アウト・キャストなどは渡辺プロの後輩ザ・タイガースのほとんどの録音を手がけた、と言われている。掲載アルバムは、
○アウト・キャスト「君も僕も友達になろう」1967(画像1)
○アダムズ「カルトGSコレクション~旧約聖書」1997(録音1968~69・画像2)
○「コンプリート・リンド・アンド・リンダース」1992(録音1967~68・画像3)

タイトルの「東西」はアウト・キャストが東京、リンダースが大坂で、方や渡辺プロ、方やターゲット・プロがGSのブームを予期して有能な人材(アウト・キャストの水谷孝、のち公生はトップ・スタジオ・ギタリスト、樋口雄右はキャンディーズの作曲と音楽プロデュースなどほぼ全員が音楽業界に残った)に結成させた。リンダースの加藤テツヤは当時の大坂のトップ・ギタリスト。テレビのレギュラーでも活躍し、東京にも進出したが、後続のタイガース、オックスの大ブレイクには追い抜かれた。アルバムのリリースはなかったが、CDでシングル7枚とオムニバス盤発表の全15曲がまとめられた。

アウト・キャスト唯一のアルバムは海外のガレージ・サイケ・マニアにも絶大な人気を誇る作品。解散後の主要メンバーはアダムズを結成、アルバムはないがシングル4枚・8曲を残す。さすがにここまでお薦めはしないが、筆者は愛聴しています。