'Commercial Zone'初回曲目(曲順)は次の通り。()内は再録音アルバムでの改題。
[Side A] :
1.Mad Max(Bad Life)/2.Love Song(This Is Not A Love Song)/3.Bad Night/4.Solitaire
[Side B] :
5.The Slab(The Order Of Death)/6.Lou Reed Part1/7.Lou Reed Part2(Where Are You?)/8.Miller Hi-Life
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また英文ウィキペデアによると2ndプレス以降はA面に曲順変更と改題があり、
1.Love Song/2.Mad Max/3.Bad Night/4.Young Brits(Solitaire)
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となっているという(筆者未見)
8は共同プロデューサーのボブ・ミラーの名をビールと流行のアフリカン・ポップスにかけた洒落だろう。前作「フラワーズ・オブ・ロマンス」はベーシスト、ジャー・ウォッブルの脱退のためベースレスで制作された、燃料切れのまま坂道を転げ落ちていくような傑作だったが、ピート・ジョンソンをベーシストに加えたものの今回の制作はさらに難航し、ニューヨークのサウス・パーク・スタジオで82年5月~83年5月に及んだ。キース・レヴィンは脱退し、日本公演はセッション・プレイヤーを補充して行われる。
レコード発売の間が開きすぎたため、アルバムが完成しないうちに「コマーシャル・ゾーン」ヴァージョンのシングル『ラヴ・ソング』(画像1のみ収録)がリリースされてバンド最大のヒットとなり、レヴィンはこれを完成形としてアルバムを自主制作リリースする一方(画像1)、ライドンはスタジオ・ミュージシャンを雇ってアルバムまるごと再録音する(画像2)。出来はというと、アプローチがまったく違うので比較できないのだが、レヴィン版はデヴュー作から続くPiLならではのバンド・サウンドを延長した自然さがあるのに対し、ライドンによる再録音版「ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント」はどこか実体のはっきりしない、隔靴掻痒の感がある。
ライドンは次作で完全に吹っ切れ、旬のプロデューサー/ベーシスト、ビル・ラズウェルと組んでとんでもない人選でハード・ロック・アルバムを制作する。それはまた別の話。