人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(40f)ジミー・ジュフリー(winds)

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Jimmy Giuffre(1921-2008,soprano,tenor & baritone sax,flute,clarinet)。
ジミー・ジュフリーの記事を6回、400字詰め原稿用紙なら30枚、紹介アルバムが19作って本当は異常なことですの奥さま。こんな誰も読まない記事をコツコツ書くのは判官びいきというやつで、60年代初頭までは名声の絶頂にいたジャズマンがいきなり10年消える。復帰後はマイナー・レーベルを転々とする存在。だが作品の質は誰も期待していないのに高かった。だからと言って返り咲きというほどの評価もセールスにも結びつかなかった。

そしてついに89年、ポール・ブレイ(ピアノ)、スティーヴ・スワロウ(ベース)との「三部作」トリオが復活して、2日でアルバム3枚を録音する。それが'The Life of a Trio'新三部作で'Sunday'(画像1)'Saturday''Saturday and Sunday'の順に発表された。28年ぶりの再結成だし、全員いろいろあったし…と思うとまったく変わっていない。たいしたものだ。ただし現代音楽くささは薄れてメロディアスになった。曲は例によってメンバーのオリジナルの持ち寄りだが、どれもトリオの音楽性になっている。メロディアスになったとはいえクラシックの室内楽っぽさはまだ残っている。

だが次の'Fly Away a Little Bird'92(画像2)は親しみやすい会心作になった。全14曲中スタンダードを'I Can't Get Started''All the Things You Are''Goodbye''Lover Man''Sweet and Lovely'とベタな選曲で攻め、オリジナルとの配分がとても良い。このアルバムは好評で、03年にも再発売された。
その時公表されたのは、ジュフリーは脳梗塞で倒れて以来闘病中で、復帰は望めない、という近況だった。ジュフリーはジャズ界最高の頭脳だったのに。

遺作は'Conversations with a Goose'96(画像3)になった。75歳、逝去の12年前になる。全13曲がジュフリー/ブレイ/スワロウの共作なのも、ジャケットと併せて感慨深い。ジュフリーは鳥や羽虫が好きだった。これまでの作品や遺作のタイトルにもそれは表れている。