人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

狐の嫁入り日記・7月14日(日)

「とにかくこの気候ですから」
と、訪問看護のアベさんが帰りがけに言った。「水だけは摂りすぎてもいいくらい飲んで下さいよ。後は塩飴なんかいいですが、ただの塩でもいいですから」
「だいたい大丈夫だと思います。麦茶だけでも一リットルのボトルを一本半は飲んでますし、塩分も味噌汁や漬物で、普段より多目に摂ってますから」

だがアベさんが帰った後、黙々と五時間かけて蔵書を片づけ、夕食より先にシャワーを浴びたかった。これだけ暑いとシャワーは給湯にしなくても数分はぬるま湯が続く。ぼくのところはユニットバスで追い焚き機能がないので、バスタブ内でシャンプー、髭剃り、洗顔に全身洗いを済ませシャワーで流してしまう。「この二週間は毎日二回、シャワーを浴びてますよ」と話すと、アベさんもわが意を得たりという様子で、「ぼくもそうですよ。帰宅してまずシャワー、夕食から寝るまでにまたシャワー」
「海外在住のかたのブログで読みましたが、インドネシアでは一日に二回沐浴するそうです。きっと、このくらいの気候なんでしょうね」
「なるほど。体を流しておかないと、体温調節もおかしくなってきますよ」

それにしても、段ボール15箱分の蔵書をアベさんに手伝ってもらって分類・詰め替えしたのはいいが(押入れにさらに10箱)、貴重なものは確保できた-売ってしまったらしいものを除けば。これは持っていたな、というものはちゃんと見つかった。
ぼくの好きな少女マンガ家は水野英子青池保子木原敏江山岸涼子大島弓子名香智子くらもちふさこ岩館真理子といった人たちで、マメに探せば少女マンガは一般の古本屋では捨て値だからいわゆる初版も全作ほとんど揃った。少女マンガの場合初版から数年を経過すると新装版になり内容の改編があることも多いので、水野英子の「星のたてごと」「銀の花びら」や、山岸涼子の「白い部屋のふたり」「ゲッシング・ゲーム」(前者は少女マンガ初のレズビアン漫画、後者は同じく男性ゲイ漫画)などは初版が重要な基本テキストになる。それに書物としても新装版の再刊本より比較を絶するほど装丁が美しく、愛蔵するに値し、造本もしっかりしているのだ。

だが後になって、貴重本はきちんと分けたが、中程度の愛読書は適当に箱詰めしてしまったのに気づいた。今日は夕方の狐の嫁入り時に、汗だくで段ボールと格闘していた。