Joe Henderson(1937-2001,tenor sax)。
ヘンダーソンは地味に70年代以降を中堅テナーとして生き抜いたが、ヘンダーソンの古巣ブルーノートはほとんどフュージョンと未発表作の発掘レーベルになり81年には活動を停止した。
だがアメリカ国内でも往年のブルーノート所属ジャズマンや主流ジャズ復興の要望が高まり、85年にブルーノートは新作制作レーベルとして復活する。そして発売されたヘンダーソンの新作は、かつてロリンズやコルトレーンもライヴ録音の名演を残したクラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴで、
The State Of The Tenor Vol.1 & 2(画像1)85.11.14-16
-だった。ロン・カーター(ベース)と、アル・フォスター(ドラムス)とのピアノレス・トリオで、その点もロリンズとの比較で話題になった。全15曲中モンク3曲、スタンダードと代表的自作。「テトラゴン」では'Invitation'をテナー奏者の定番にした実績があるが今回はサム・リヴァースの'Beatrice'を世に知らしめた。
このアルバムでヘンダーソンは現役テナー最高の巨匠とされ、大手ヴァーヴと終身契約し、グラミー賞受賞ジャズマンともなる。
ヴァーヴからのアルバムは手堅いスタジオ作が多く、質は高いが、
An Evening With Joe Henderson(画像2)87.7.9
Montreal Tapes(画像4)89
The Standard Joe(画像3)91.3.26
-などを聴くと、手作り、ライヴならではの良さをしみじみ感じる。画像2と3はイタリアのインディーズ'RED'からのリリースで、88年発売の「アン・イヴニング~」はジェノヴァのジャズ祭でのライヴ。ピアノレス・トリオで選曲が自作とモンク各1曲に『インヴィテーション』と『ベアトリス』で、演奏も音質も素晴らしい。
「モントリオール~」は89年のジャズ祭でのライヴでメンバーは前回と同じトリオだが曲目は異なる。これをヴァーヴが発売したのはヘンダーソン没後の2004年だった。
「スタンダード~」は伊スタッフがニューヨークまで出向いてスタジオ録音した代表曲とスタンダード半々の再演集。これもピアノレス・トリオで、晩年のヘンダーソンの本音がわかる。