人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出56

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・3月22日(月)晴れ
(前回から続く)
「副食は小松菜のマヨネーズあえとおろしトロロだったが(注1)Kくんはお粥を数口すすっただけでおかずには一切手をつけず(トロロなら虫歯でもと思うが偏食だから)いいなあPC80(食事の分類。意味はよく判らない)にはコーヒー牛乳がついてて(彼はE2100)とボヤくので、煙草とバーターにする?(注2)とショートピース二本と交換する。エンシュア・リキッドくれればなあ(注3)、カルチャー・ショックだよ(注4)。ミキサー食が相当こたえたらしい。まああれはやむを得ない人以外はご免こうむりたい代物には違いない。歯の痛みは昼からは服薬でだいぶ治まったようだが、食事の様子ではまだ口腔内が荒れていて、頬の疼きが辛そうだ(注5)」

「午後からのアルコール科はTkさん(主婦、元製薬化学者・注6)、Nkさん(元少年雑誌画伯)、Kgさん(バツイチ女性)、Fさん(師匠)、それとSmくん(注7)が帰宅外泊から帰ってくる。気づくと人数が1.5倍という感じでまだまだ名前を上げきれないが、先に名前を上げた人たちが最終で、ほぼ全員が病棟に帰ってきた。入院以来初めての三連休もこれで終った。明日からはまた学習プログラムとハプニングの日々か、とにわかにザワザワした雰囲気に戻ったデイルームを喫煙室から見ながら思う」

(注1)唐突な出だしだが、前回の昼食の続きである。この日記は食事の記録がくどいが、入院なんて食事しか楽しみはないのだ。
(注2)Kくんは無償で人にあげる・もらうは嫌がる性格なので、あげてもよかったのだが取り引きのかたちにした。面倒な男だ。
(注3)ドリンクヨーグルト状の総合栄養剤。通常食の摂食困難な体力衰弱患者や昏睡患者(いわゆる植物人間状態。その場合鼻から摂取させる)に処方される。国民健保で一缶(一食)100円、栄養素万全でダイエットにも最適の優れ物。バニラ味、イチゴ味、コーヒー味の三種類がある。
(注4)ミキサー食のことだろう。あまり適切な表現ではないと思うが。
(注5)Kくん絡みの話は注が多くなる。本人は大真面目なのに傍で見ていると可笑しいのだ。
(注6)退院後筆者と不倫関係になる女性。弁解めくが入院中はまったくそうなるような仲ではなかった。
(注7)Smくんは一般精神科なので「それと」。ハブにしているわけではない。