人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記99

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・3月29日(月)曇りときどきにわか雨
「洗面所の簡単な掃除と雑巾の交換、朝食後には環境タオルを取り替える。外出予定は9時だがKくんは洗濯をしたいので、乾燥機からの回収を頼まれる。きっちり乾いているように長めにかけてあるという。彼が例外的に早く外出できるのはアルコール科の患者ではないからで、アルコール科の患者は朝の会で抗酒剤を服用しないと散歩にも出させてもらえない。抗酒剤服用の挨拶(聖餐式(注1)みたいだ)は日直が担当するが、眠剤?それとも抗不安薬の処方が変更されて以来滑舌が悪いので聞き取れなかったらしく、今日も一日元気にすごしましょう、いただきます、と飲んでもみんなぽかんとしている。駄目押しで(なんとか)いただきます、で、ようやく皆が抗酒剤を飲む。情けない」

「Skさんなどまだ実害はなかった、ということだ。KwがYzさんやKuと大声で話している声がデイルームに響く。そうかお前還暦か、おれなんか61だから知りあって10年だな。お前は38だよな、知りあって7年かな?いやはや、Kくんは今日外出して良かったかどうか、昨日の今日でもうこれだから今後は日を追うごとに増長するに違いない。横浜拘置所雑居房にも前科17犯という麻薬犯がいたが、厳密に法的な意味でも確信犯とはいえKwのような下卑た人間ではなかった。17、8回もアルコール依存症で入退院を繰り返しているからには職にはつけずおそらく生活保護受給者、アルコール依存症から更正する意志などさらさらないとしても(ないだろう)厳密に法的な意味では確信犯とはならない、すなわち法の侵犯にはならないが、限りなく生活扶助の詐取に近い。ここまで露骨な例は入院以来初めて見た、と思っていると10時の開扉とともに出て行った。一時的とはいえ、ほっとする」

「そういえば昨夜、追加眠剤服用の後Kくんと就寝前の一服していると、廊下の向こうでKwがKu(車椅子)の一床部屋に入っていくのが見えた。ナースステーションのメイン・スイッチで全室消灯になるはずだが、ドアにかましたクッションで開いた隙間から灯りが洩れていた。要介助だからだろうか(注2)」(続く)

(注1)キリスト教の定例儀式で、信徒がパンと葡萄酒(ジュース)をキリストの肉と血として分け合う。
(注2)後にこの両者の金銭絡みの取引が露見し病棟中が大混乱に巻き込まれる。