人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記119

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・3月31日(水)晴れ
(前回から続く)
「Kwが手に提げていたのは病院前のコンビニの袋で、買い物だけではこれほど時間はかかるまい。申し訳程度に終わり近くに帰ってきたのだ。欠席のつもりはなかった、つい買い物が長引いちゃって、と言い訳がきくタイミングなので、下駄箱あたりで様子を伺っていたかもしれない。司会のNj看護婦の仕切りで時計回りに『入院のしおり』を朗読(Atさんは障害だから免除)し、最後がSkさんであと二人か三人分で終るが、半端に二巡するのもなんだからSkさんが最後まで読んでいる最中にKwがこっそり戻ってきて、ナースステーションに買い物チェックのため袋ごと渡すと、まるで無関係なそぶりで廊下の奥に消えて行き、そのまま自室に入って行った」

「Skさんが読み終えると、Nj看護婦は、皆さん、病院ではとんでもないことも起こります。面会室でエッチしようとしてバレた人もいれば非常階段でしようとして未遂に終った人もいました(全員笑)。第三病棟では何度注意されても灰皿におしっこする人もいました。どう考えたってトイレの方がしやすいのにねえ(笑)。今皆さんが思ってらっしゃる問題は、今ここにいない人のことだとはわかっています。それはそうだろう、こないだまで第三病棟で大荒れだったのだから。だがそんな問題人物をこちらの病棟に移室させてきたからには平穏に学習生活を送りたいアルコール科患者、十分に休息をとりたい一般科患者、どちらもきちんと守る対策がとられていると言えるだろうか?」

「いつもより長引いた全体会はそこでお開き、デイルームに出てきたKwは相変わらずの振る舞い。午後の学習プログラムは薬剤教室、題目はアルコールの代謝カニズムについてだから、酒害教室が社会的な面についてなら生理学的な面からの学習。今回は薬剤とアルコールの関係で、抗酒剤の原理を習う。Kくん(彼は一般科だから暇潰しの自由参加)が相変わらず不必要に些末な質問を連発する。今日は仔細な日記を書く気にならず、『天』を夕食前に読み終えてSmくんに返し、感想求められる。Fさん、Yzさんは断酒会に外出。自分にはまだ先の話だ。夕食後はテレビ東京の70年代歌謡曲・フォーク回顧番組。あがた森魚が特別出演して『赤色エレジー』を歌っていた。入院患者の平均年齢は高いから半数以上の人が番組終了まで観ていた」