人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記200

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(人名はすべて仮名です)
・4月25日(日)晴れ
(前回から続く)
「近藤さんの飲酒昏倒事件はともかく、降谷さんの駐車場シェスタ事件と三田さんのウォシュレット事件に滝口さんは爆笑。一応本人たちに聞こえたら悪いのでひそひそ話だが、梅崎さんも勝浦くんも大変だったんだよー、と笑い半分、まじめ半分で言うので滝口さんにはますますおかしい。近藤さんの一件は、なにしろ滝口さんは抗酒剤だけでもアレルギー発疹を起こすので、ぎりぎりセーフで抗酒剤を飲めたとしても、食物に含まれる微量のエタノール成分でも中毒症状を来すかもしれないのでなんともいえない表情だった。抗酒剤を服用できない体質なのはアルコール依存症治療には不運だからだ」

「こちらの話が聞こえていたとは思えないが、降谷さんは自分のことを話題にしているのだと感づいたのかもしれない。つかつかとホワイトボードに歩いていくと、水性マーカーを手にして、でかでかとラブホ、と書くとにっこりしてこちらのテーブルを向いた。あまりに得意げで嬉しそうな様子なので、梅崎さんが笑いをこらえながら、ラブホ、とつい読み上げてしまう。今度また光一さんと行くの!と降谷さんはボード消しでラブホを消すと、くるくる回りながら自分のテーブル席に戻って行った。前からあんな人でしたっけ?と滝口さん。四月の始め頃からいたと思うけど…もう三週間はいますよね、女の人の方が知ってるんじゃ?あの人アルコール科じゃないでしょ?」

喫煙室躁鬱病だって誰かと話していました。佐伯さんや勝浦さんと同じ?一緒にしないでください、と勝浦くん。一緒だろ、おれは今回はアル中入院だが。あまりあの人と話したことないから、と滝口さん。胸はないわよ、私より、と梅崎さん。ちょっと一服してきます。あの女本当に躁鬱か?そう聞いただけだよ、あっ来た。降谷さんは少し喫うと突然歌いながら踊り始め、どうしたんですか。マイケルしたくなったの。マドンナは?と勝浦くんが訊くとまた踊り出したので先に出てくる。何よあれ!と梅崎さんたちも目が点。説明する。その後もホワイトボードに小沢健一あてのファンレターを書くと納得して消したり、突然こちらのテーブルに来てパラレルワールド島宇宙?地学よね、と謎の発言をして去ったりの大活躍だった。あの女本当に躁鬱か?勝浦くんはプライドが傷ついたようだった」