人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記118

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・3月31日(水)晴れ
(前回から続く)
「Kwなら全体会欠席を咎められた時の言い訳もだいたい想像がつく。だっておれアルコール入院じゃないでしょ、なんで出なきゃなんないのよ?そして相変わらずの態度をとりつづけるのだ。まともにKwの相手になるのは再入院を繰り返してずっと以前から顔見知りのHA、Sk、Kuとろくな連中ではないが、温厚なYzさんまで親しげなのは見込み違いの気分になった。合わせてやっているのだとしても、同じ部類と思われるのはYzさんには不本意ではないのだろうか」

「全体会は先二週間の当番割り当ての後、当然昨日入れた投書箱の意見が取り上げられると思っていたが、皆さんから議題にしたいことはありますか?とNj看護婦。はい、とFさんが挙手し、昨日の灰皿掃除で灰皿の中に煙草の空き箱やキャンディの包み紙が捨ててありました。それから、とKくんが引き取り、勝手に座席票を貼り替えて席を変っている人間がいます、それが許されるなら席を移りたい人は好きなように空席に移れることになります。どなたか席を移りたい人はいますか?とNj看護婦。Kdさんが真っ先に手を上げる。HAばかりかKwまで同じテーブルではたまるまい。ところがHAまで挙手したのは?だった。空席は二席、一つはこのテーブル(先日までストーカー呼ばわりしていた佐伯のいるテーブル)、もう一つは彼女が怖がっているSkのいるテーブルだけだ」

「Kdさんはどこがいいんですか?Uzさんの隣です。ではどうぞ。UzさんもTkさんも良かったね、という目配せを交している。元々親しい散歩仲間が揃った(Kくんと佐伯も。Kuを除き)。HAさんは?彼女はもうSkのいるテーブルしかない。やっぱりいいです、今のテーブルはYzさんもいるし。ではこのテーブルに来たかったのか?訳がわからない」

「それから、とKくん。佐伯くんと掃除した時も相変わらず喫煙室の床にコーヒー牛乳こぼれている有様です。二、三日前には第三病棟の患者が喫煙室で座りこんで何時間も占領していました。僕も長話する時はあるから他人のことは言えないが。どの人です?名指しは何でしょう。言ってくれた方がいいんです。確かKsという人です。彼女は退院しました、とNj看護婦は言い、では『入院のしおり』を開いて。すると買い物袋を下げたKwが戻ってきた」(続く)