人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記136

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・4月3日(土)晴れ
(前回から続く)
「桑原くんとメールやりとりしてもピンサロ行きたいけどお金なくてとか、まあその程度の楽しい話ばかりだし、楽しくはあっても入院中に話したところで不毛なだけではある。彼とは絶対真剣な話題にならないから気持がこじれることもなく、他にかけがえのない友人とは思っている。桑原くんと価値観や思想信条などの相違で剣呑になって絶交するような事態などまず考えられない。すごーく低次元でだが、案外こういうのを男の友情、君子の交わりというのかもしれない。彼との関係ではどちらにもエゴイズムが発生しないというのは、人間関係では滅多にあることではない。そういう意味では桑原くんほどKくんとは対照的な人物はいないが、接する態度では桑原くんが相手でもKくんが相手でも変りはないつもりでいるので、Kくんとしても防御的でも攻撃的でもない姿勢でいられるのかもしれない。その点では女性たちやMさんやFさん、Smくんからも買いかぶられている。よくKくんを訓飼できたな、と、別に人間の器量が大きいわけではない
。どんな相手にもそれなりに順応しているだけ、その方が楽だからだ」

「入院予定の報告をしてある友人・知人はあと何人かいるのでとりあえず全員共通の下書きを作り、各人ごとにアレンジすることにする。まあ暑中見舞いとか年賀状みたいなものだ。入院も二か月目に入り、病棟にも桜の季節がやってきました。病院の敷地内にも周辺にも桜が花ざかりです。入院中に見る桜というのも風情があって良いものです。(中略・各人あてに近況を尋ねる内容)では退院後にお会いするのを楽しみにしています。これをベースに桑原くん(シンプル)、堀口さん(やや詳細)、上田さんと片岡さんには堀口さんとは別の面でやや詳細、と書いているうちにお昼近くなり一旦中断して保存」

「昼食後はメールは掃除を済ませてからにしようと日記の続きを書き(まだ前日分の途中)、ラジオ体操と掃除が済んで上田さんと片岡さんには同じ文面でよかろうと先に仕上げて送り、末期がんの堀口さんにはどう結んだらいいものか迷い(余命宣告されているのだ)退院して真っ先にお会いしたいと思っています…嘘ではなく堀口さんほど優しく穏やかで心配りも細やかで寛容な人はいない。高橋さんを中心閉じた集まりでもみんないい人なのだが、心から好きと思える人は堀口さんになる」(続く)