人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記148

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・4月4日(日)晴れ・にわか雨
(前回より続く)
「どっちみちデイルームでは日記など書けやしない。晩に図書室から借りておいた町田智浩『USAカニバケツ・超大国の三面記事的な真実』(大田出版04年)をデイルームで不貞腐れながら読む。…話は前後するが、夕食後の喫煙室でKくん、お照さんの三人だけでいる時に、自分でも会話したいとも思わないのについ、ぼくは精神病院への入院はここで三軒目になるけど、これまで入院した中でここは最低です。おれのお気に入りのところを、そう言われちゃ、とKくん。ごめん、言い直そう、医師の方々も看護婦も、その他スタッフも一人一人はきちんと仕事をこなしている。患者への気づかいもある。でも、患者が病院を混乱させているならともかく、ここでは病院が患者を混乱させているんだ。そこまで口にしたとき、Skが入ってくる」

「一応結論は述べねばなるまい。今まで入院してきた病院では、そんなことはなかった。この話はもう止めよう、Skさんにはいろいろ言い分があるだろうしね。いいじゃん、続けなよ、とSk。アスペルガーなんだっけ、ライターなんでしょ?案の定絡んできたが、肩をすくめて、無言でやりすごす。お照さんが自分に処方されている薬についての不安を持ち出してくれたのは助かった。他人を不快がらせては愉快がるSkもさすがに女性に対しては慎重になるからだ」

「効く時もあるけどよく効かないのよ、不安で落ちつかなくて。具合が悪くなるのが不安で、それで本当に調子を崩すのを予期不安と言うそうですよ。薬だけではなくて、不安を持たないように馴らしていくと回復が早いそうです。私の飲んでるのは、とお照さんがKくんから薬品名を教えてもらった途端に、Skのマシンガン・トークが始まった。この人の知ったかぶりは右から左でいいですよ。知ったかぶりじゃない!本当に知ってるんだよ!とSk、沸点寸前にキレそうになる。ええ、わかってますよ、と喫煙室を出てくる。後から部屋に戻ってきたKくんにどうしたんだ、あのおっさんとなにかあったのか?いや、ちょっと挑発してみただけさ、きみもあいつは嫌いなんだろ?それはそうだが…。Kくんにしてみれば佐伯くんらしくないぞ、と言いたいのだろう。だが実はそれはKくんに対しても感じていて、徐々に態度に出てきてしまっていることなのだ。まあいい。明日は明日で、今日はこれでお終い」