(人名はすべて仮名です)
・5月2日(日)晴れ
「早く起きたら教会の礼拝に出席するつもりもあったが、夜更かしがすぎて寝坊して起きる。飲酒問題が起きたきっかけは教会の内輪揉めに首を突っ込んだからだったのだが、なにしろ入院していると反省時間が長いので気持のわだかまりはなくなっている。朝の子供番組の録画ビデオ観て、牧師先生や画家のお二人、闘病中の知人へのメールを時間かけて書き送るうちに午後になる。電車とバスの乗り継ぎも良く、三時前には病院に戻る。滝口さんと顔をあわせて第一声、飲んできてないでしょうね?当然だよ、はっはっは」
・5月3日(月)晴れ
「祝日なのでプログラムは何もない。朝の会の後で勝浦くん、滝口さんに誘われ一時間ほどの散歩をしてくる。コンビニに寄るが少年マンガ誌も一般週刊誌もGW合併号なので新たに立ち読みするものはない。午後はまた勝浦くん・滝口さんの二人に散歩に誘われるがもう横になっていたので断って、夕食前の一番風呂まで眠る。昨夜も今夜も降谷智子の奇行が止まず、とにかく機嫌はいいようで、突然歌いだしたり踊ったり、ホワイトボードに書いては納得して消したり、つかつかとこちらのテーブルに来ては(気に入られたようだ)一万円じゃラブホも行けないよね!と同意を求められたりしてきたが、羽田や坂部のように悪意や実害はないとはいえどういう症状なのか三人で消灯まで雑談。あと数日で滝口さんも退院するのだ」
・5月4日(火)晴れ
「月曜よりさらに眠い。朝の会までなんとか持ちこたえたが後は昼食だけやっと起き、午後も入浴時間まで眠る。散歩の誘いも断る。晩は滝口さん、勝浦くんと消灯まで雑談」
・5月5日(水)晴れ
「三日連続でほとんど寝て過ごす。外泊の後から変だぜ、と勝浦くん。入院疲れだと思う、と答える。夕食はこどもの日特別メニューと称してちまき風チャーハンという変なものが出る。滝口さん明日退院。しんみりした話になる。退院したら誰とも連絡しあう意志はない、と明言してあるので彼らから水臭い、と責められる。勝浦くんが喫煙に抜けると急に場が緊張、それでも私佐伯さんが好きですよ、と真剣に言われる。おれも滝口さんは好きだよ、でも、とテーブルの上に線を引き、それまでだから。勝浦くんが戻り消灯まで雑談。退院の餞別に、新潮文庫のヴァージニア・ウルフ『灯台へ』プレゼントし喜ばれる」