人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

文学史知ったかぶり(19)

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 この連載は元々ドイツの文学史家エーリヒ・アウエルバッハ(1892~1957)の代表的著作『ミメーシス』46で論じられる文学概念の検討から始まりました。同書邦訳では「ヨーロッパ文学における現実描写」と副題がつけられているように邦訳で上下巻1000ページを20章に分けて、ヨーロッパ文学の文体表現史を展望してみせたものが『ミメーシス』(表象・模倣)です。著者がそこで選出した作者・作品の総体がヨーロッパ文学の本流をなす、としたらアメリカや日本の近代文学はヨーロッパ文学の系譜には位置づけられない、と前回までで検証しました。

 『ミメーシス』は以下の作品論から成ります。
 第一章・『オデュッセイア』『旧約聖書』//第二章・ペトロニウス『サテュリコン』、タキトゥス年代記』//第三章・アンミアヌス『ローマ史』、アウグスティヌス『告白』//第四章・グレゴリウス『フランク人の歴史』//第五章・『ロランの歌』『アレクシウスの歌』//第六章・クレティアン『イーヴァン』『クリジュス』『ランスロ』//第七章・十二世紀キリスト教典礼劇、アシジのフランチェスコ書簡、ヤコポーネ『受難詩』//第八章・ダンテ『神曲』//第九章・ボッカチオ『デカメロン』//第十章・ラ=サール『マダム・フレーヌのなぐさめ』、作者未詳『結婚十五の歓び』
 以上上巻。下巻は、
 第十一章・ラブレー『ガルガンチュワ物語』//第十二章・モンテーニュ『エセー』//第十三章・シェイクスピア『ヘンリー四世』『マクベス』『あらし』//第十四章・セルバンテスドン・キホーテ』正続//第十五章・モリエール『タルチュフ』、ラ=ブリュイエール『カラクテール』、ボワロー『詩法』//第十六章・プレヴォー『マノン・レスコー』、ヴォルテール哲学書簡』『カンディード』、サン=シモン『回想録』//第十七章・シラー『たくらみと恋』、ゲーテ『ウィルヘルム・マイスター』//第十八章・スタンダール赤と黒』、バルザックゴリオ爺さん』、フローベールボヴァリー夫人』//第十九章・ゴンクール兄弟『ジェルミニー・ラセルトゥー』、ゾラ『ジェルミナール』//第二十章・ウルフ『燈台へ』、プルースト失われた時を求めて』、ジョイスユリシーズ

 次回は改めて、『ミメーシス』に正面から当ってみたいと思います。