人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記244

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(人物名はすべて仮名です)
・5月18日(火)晴れ
(明後日退院)
朝日新聞朝刊、ハンク・ジョーンズ訃報(16日)、享年91歳。ハンク・ジョーンズの来日公演は2001年に青山のブルーノート東京で観られるはずだった。ギターにケニー・バレル、ドラムスにミッキー・ローカーというレイ・ブラウンスペシャル・カルテットのピアニストがハンクの予定だったのだ。前売り券の段階ではそうだったが当日に、移転して席がゆったりしたブルーノート東京に行ったら(それまでは酷く狭かった)ハンク病欠、ピアノは代役で払い戻し承ります、でもバレル、ブラウン、ローカーだけでも伝説みたいな人たちなので観てきた。翌年ブラウンは巡業中に急死したからなおさら惜しく、代役の白人若手ピアニストも悪くなかったが50年以上現役のベテランたちとでは影が薄い。ハンク・ジョーンズが予定通り入っていればかなり曲目も演奏も違っただろうと思われた。ブラウンたちの演奏もあと20年は行けそうに見えた」

「朝刊にジャズ関連記事が二本も載る日は珍しいが、こちらもある意味訃報で、『スウィングジャーナル』誌が来月19日発売の七月号で休刊とのこと。黒い噂の絶えない、業界の必要悪みたいな雑誌だったし、まともにジャズ好きの人からは嫌悪すらされていたから遅かれ早かれだったのだが、それでもこれからジャズを聴く人には広告塔の役割は果していたので損失ではある。ジャズの世界も痩せ細るばかりではまずい」

「昨日に較べれば今日は簡略な日だった。朝の会も特記事項なし、10時半からの外来ミーティングに出る。入院中はこれが最後の機会だが、渡辺愛さんは来ていなかった。断酒二か月半でスリップしたのでなければいいが。いつもの面々に、金子が今日も出席していたが始まって間もなく携帯電話が鳴り、退出したまま戻らなかった。今日のテーマは夏への取り組み、要するにビールの話だ。途中でシンさんが来てから全然関心ない雑談になるが、それでも時間が余る。何か一言ある方、というので明後日退院です、ありがとうございましたとあいさつする」

「携帯電話のメールチェックすると滝口さんから着信あり、今日は返信する余裕あるだろうか。昼食後、部屋でカーテンひいて、昨夜中里さんから聞いた勝浦くんの件について打っていると、いきなりカーテンがざーっと引かれる」
(続く)