時間かせぎなのは本人も認めている。おととい『総合文人としてのジッド』というのをまず著作年表だけ掲載したが、主題はタイトル通りだとして話をどこから始めるか、だいたい内容なんて始め方で決まってくるものだ。それを思いつかないままで年表から始めてしまったから、こりゃ下手すると全著作の個別解説しないと済まないかもしれないぞ、と方針が定まらないと続きが書けない。
とりあえず新潮社版の全集と日記、その他全集未収録作品で翻訳のある物は一通り読んではいるが、ちゃんと論じるなら再読の必要もある。つまらなかった作品でも、だ。
もう一つの『ムーミン谷』はダークフローレン(笑)と偽ムーミンの掛け合い漫才対決をやっているが、これもタイミングを間違えたというか、こういう展開になるなら早いうちに段取りしておくべきだった。なにしろ全80回で完結する予定だが、こんな風に腹の探り合いという事態になるとは考えていなかったので、この調子で書いていたら予定最終話になっても終らない。構成など何も考えずに書いていたからこういうことになる。いざとなったら最後の数行で無理矢理終らせてもいい。たとえば―
行くわよ、とフローレンは言いました、さっさとしなさいよ。偽ムーミンはなんとか立ち上がりました。それじゃ行くわよ。
どこへ?
本当にこれで終らせるかもしれない。だが実は『ムーミン谷』は『[新編]叛逆の物語』、または『新ムーミン谷・序1.11』の予告編でしかないので、まあマチネーとか試写会みたいなものなのだ―というのも本気半分ハッタリ半分ではある。だいたいあんなものは作品ではなくおふざけで、昔風に言えば戯作の類だが、戯作しか書けない人間というのはおおむね言葉のみならず人間不信にも陥っていると思って間違いない。そこまでは徹底していない。
そこでようやくお手製ちゃんぽんの話題になる。料理は嘘をつかなくていい。まるでセックスのように、と付け加えそうになったが、いやいやいや、較べてはいけないだろう。では男料理は男色か、自炊はマスターベーションかとますます比喩が不適切だが、これは市販のちゃんぽん乾麺とスープに肉野菜炒めをたっぷり乗せたものだ。胡椒をたっぷりかけて召し上がる。九月に入ったらすっかり、いきなり秋になった感がじんわりと深い。冷奴の季節は過ぎ麻婆豆腐の季節だ。