人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(56)

 顔が割れてないのはあなただけだから必要はないかもしれないけど、とデイジーはまじまじと相手の顔を見つめ、でもやっぱり変装はしていった方がいいかもね、何がきっかけであなたがうちの店から来たってバレないか、予期できないから。あなたがうちの店と何か関わりがあるんじゃないかと疑われたら、探り出したいものも探れない。警戒されるに決まっているわ。あなたが私たちと同じ種族だと思えば、そういうブランドに見えてくるのはどうしても隠しきれないでしょう。だから用心のためにも変装していった方がいいわ。
 マイメロ変装なんかしたことないから、どうすればいいかわからないよ、とマイメロディは言いました。このカマトトうさぎ(のぬいぐるみ妖精)、とデイジーは苛立ちましたが、あなたの場合簡単よ、とずきんを脱がせにかかりました。いやーん、とマイメロが悶えて逃げようとするのでデイジーが目くばせすると、左右からキャシーとミミィがマイメロの腕を取って押さえつけました。ひい、とマイメロはうめき声をあげると大声で泣き出しましたので、心優しいキャシーとミミィは罪悪感に責められましたが、今さら乗りかかった船というものです。デイジーは頭をぐらぐらさせているマイメロにはかまわず、ずきんに手をかけて力まかせに脱がせようとしました。
 ところが一見単純な構造のかぶり物のように見えて、なかなか上手くいきません。ずきんは頭の後ろと顔の側面を覆って、あごの下で左右が襟のように合わさっていました。見たところホックやボタンもないので、ずきん自体が伸縮性に富んでいてすっぽりとかぶるような仕組みになっていると思われます。それならかぶる時と同様に引っ張れば伸びるはずなのですが、耳の部分を引っ張っても、頭の部分を引っ張っても、あごからめくり上げようとしてもマイメロの顔ごとついてくるので、脱がすどころかまったくらちがあきません。
 ミミィはお客さんが置いていったマンガ雑誌侵略!イカ娘を思い出しました。イカ娘のヒレつきの帽子は彼女の頭部の一部なのです。ひょっとしたら……それ、彼女のからだの一部なんじゃないかしら?えっ、じゃあ脱げないの?マイメロは泣きじゃくってまともに返答が返せません。それじゃあマイメロってバレバレじゃない?役にたたない子!
 いや、でも他にも使いようはあるか、とデイジーは企みをめぐらせました。ミッフィーの店に潜り込ませればいいのです。