第2章。
正月、真昼、場所は川辺。あと必要なのはサルとイノシシとキジね、とアリスは言いました。私そんなこと言いません、とアリス。どうしてかね、旅のお伴は多い方が楽しくないかい?だから水玉の服も着なくちゃね、とドジソン先生は言いました。どうしてです?フィリピンではそうするんです、同じ島国として共感するものがありませんか?ちなみにエクアドルのお正月は人形を殴って燃やす、アメリカとオーストラリアでは何もしない、デンマークでは椅子から飛び下りる、スペインでは葡萄を12粒食べる、ペルーでは人と人とが殴りあいます。国はさまざま、世界は広いですねえ。
そのうち風呂なし木造アパートだらけの国があります。ヤポネシア、とエディス(即答)。正解、エディスにはご褒美にリデル家ご令嬢の長女に就任していただきましょう。勝手に他人の家の家族構成をいじらないでくださいませんか、と敬語がでたらめなロリーナ。
もうやめて!とアリスが割って入りました。私がイヌとサルとキジを探せばいいんでしょう?ちょっと違う気もしますが、とイナバさんは言いました、とにかく前向きにやる気を出したのはめでたいことです。気が変わらないうちにさっさと行きましょうか。ですが無事にたどり着けるとは保証はしませんよ。
無責任な道案内に頼んじゃったわね、とアリスは心底後悔しました、もちろん私に心なんかないけどね。でも心がなければ底がないとは限らないわよ。とにかく問題はもう解決したも同然ね、とアリスはオホホホホホのポーズをイメージしました。
ウサギ、とアリス。イナバです、とウサギ。いいからイヌとサルとイノシシを連れてきなさい。噛めない肉はよく揉んで持ってくるのよ。麺棒で叩いてほぐす手もあるけどね。
都合良くスーパーカブが路傍に乗り捨ててありました。盗ってけと言わんばかりですねえ。とお!とアリスが蹴飛ばしました。だんだん快感になってきました、とイナバさん。そりゃどうも。じゃ次に良い目が出たら上がりよ、とアリス、んじゃ行くわよ。
話はまとまりましたか、とドジソン先生。いえ全然、とロリーナ(即答)。まだ全然、とエディス。もうすっかり、の間違いじゃないですかあ、とドジソン先生は投げやりにやにさがってみせました。ほら、アリスはもう原チャリまで手に入れましたよ。ヘイ!
手に入れてません、とアリスは言いました。手に入れてません、とアリスは言いました。