ピンク・フロイドに「黒と緑のかかし」という曲があるがタイトルの由来は全然関係ない。あと2週間で52歳になる(どうでもいいが7月5日だ、なぜか毎年)初老の男の記憶では、子供の頃にパスタなどという麺料理はなかった。それはスパゲッティといって、刻んだハムとピーマンとタマネギを具に炒めてトマトケチャップで味つけしてあったものだ。今でもいかにも昔風の喫茶店では「スパゲッティ」はミートソースとナポリタンの2種類しかなくて、そのナポリタンに当たるものがそれになる。実はこれはスパゲッティ麺の日本への上陸間もなく横浜のホテルのレストランで発明された日本独自の調理法だそうで、もっともカレー同様にパスタ料理に決まり事はないからスパゲッティ麺を使ってそれなりの料理になれば日本式調理法でもスパゲッティには違いなくなる。
(まいたけとモッツァレラチーズのぶつ切りトマトクリーム和え)
(小エビの生クリームソース和えバジルとオリーヴオイル仕立て)
今は外食など年に数回もせず、スパゲッティもいわゆるナポリタンを自分で作るか、ナポリタンと同じ作り方だがサラダ油ではなくマーガリンで炒めて塩・こしょうで味を整えレモン汁で風味をつけるとナポリタンよりあっさりしたスパゲッティになる。薄切りキュウリと細切りハムを具にしてマヨネーズ和えのスパゲッティ・サラダにする。ツナの缶詰から適量をほぐして、これは和風の青じそドレッシングでもフレンチドレッシングでも合う(中華ごまドレッシングとサウザンドドレッシングは微妙)。自分で調理するのが面倒な時は出来あいの缶詰やレトルトのソースを使う。もちろんたいがいのものがおいしい。安い無名メーカーのものなどは値段に見合って水っぽく味わいが者足らず、価格と品質が割とまともに比例しているように思う。誕生日を迎える2週間後までに、予定では4食スパゲッティの食事をすることになっている(毎月ほぼ毎日の献立を立てているのだ)。スパゲッティについても、家族や誰かと卓を囲んで食べた回数より、ひとりきりで食べた回数の方がよっぽど多くなっている。