フィル・ウッズ Phil Woods - リーツ・ニート Reets Neet (Enya, 1981)
Recorded at Sound Ideas Studio, New York City on January 6th and 7th, 1981
Released by Enya Records as the album "Three For All", Enya 3081, June 1981
[ Personnel ]
Phil Woods - alto saxophone, Tommy Flanagan - piano, Red Mitchell - bass
この曲をオープニングに収めたアルバム『Three For All』はフィル・ウッズ(1931-2015)、トミー・フラナガン(1930-2001)、レッド・ミッチェル(1927-1992)の共作名義で、ドラムレスのトリオ演奏ですが、フラナガンとミッチェルはドラムレスで同世代の管楽器奏者とのトリオ演奏をこの時期多く残しており、何しろみんな名手ですからハズレというものがありません。この曲をお聴きになればドラムレスなのが何の不足もなく、かえって曲のムードを親密感あふれるものにしているので、大して有名なアルバムではありませんが『Three For All』は聴いた人なら誰もが納得の名作です。全6曲中3曲をミッチェル、さらにウッズとフラナガンが1曲を書いているのは確かなのですが、この「リーツ・ニート」については、作者が誰なのか問題があります。
というのは、アルバム(CD)ではこの曲はウッズ作とクレジットされているのですが、今回レコード番号やリリース年月を調べ直したら「リーツ・ニート」はフラナガン作、としているディスコグラフィー・サイトが多く、曲調からするとサックス奏者が書きそうな曲でもあればピアニストが書きそうな曲でもある。アルバム(CD)にウッズ、サイト上の各種データではフラナガンでは決め手がないので、とりあえずウッズ、フラナガン作と併記しました。このアルバムの録音はニューヨークですが、ミッチェルは'60年代後半からスウェーデン在住で、フラナガンがヨーロッパに出向いて共演したアルバムもありますからこの時はミッチェルの帰国に合わせた録音だったのでしょう。ミッチェルはストックホルム、フラナガンはニューヨークが終焉の地でした。サウンド面ではレッド・ミッチェルのアルバムに共通した暖かく人懐っこいムードがあり、リーダーシップはミッチェルが握った好アルバムだと思います。このアルバムのクロージング曲、ウッズ作の「グッバイ、ミスター・エヴァンス」も'80年に亡くなったビル・エヴァンス追悼の名曲なので、回を改めてご紹介しましょう。