今年はドイツの偉大なロックバンド、カンの中核メンバー2人(ヤキ・リーベツァイト=ドラムス・2017年1月22日沒、ホルガー・シューカイ=ベース・2017年9月5日沒)が逝去して一周忌になりました。初代ヴォーカリストのマルコム・ムーニー(1948-)、二代目ヴォーカリストの"ダモ"鈴木(健二、1950-)は健在ですが、結成メンバーのうちミヒャエル・カローリ(ギター・1948-2001)の逝去以降も新作やバンド揃ってのライヴこそないとは言え、旧作のリマスター再発売や発掘音源のリリースは現存メンバーの総意で続けていたのがカンでしたが、ヤキとホルガーの逝去で中核をなす結成メンバーはヤキやホルガーと同年生まれのイルミン・シュミット(キーボード・1938-)一人になってしまったので、'86年の一時的再結成アルバム以来、とうとうカンの再結成やライヴ、新作制作の可能性はなくなってしまいました。
'80年代初頭、カン解散直後のホルガー・シューカイのアルバム『Movies』'80が話題作になり、シングル・カット曲「ペルシアン・ラヴ」がサントリー角瓶のテレビCMに使用されてホルガーがプロモーション来日した際、音楽誌のインタビューでホルガーは趣味を問われて、「読書かな。古代文化の聖典を毎日1~2行読む」と答えていました。当時青年だった筆者は苦笑しましたが、当時のホルガーよりも年長になった今思えば真の読書家はかくあるべしと思えます。筆者はいまだその境地にいたりませんが、『松尾芭蕉俳句・紀行文集』1冊あれば日本の詩、文学、思想は十分で、本当にそれしか要らなくなる前にまだまだ寄り道をしているというところでしょうか。
(「現代詩の起源」は来年から再開します。)