駅の東西に、線路を挟んで、直線距離なら百メートルの位置に影の薄い感じの時計台があり(今回至近距離で撮ってみた)、なんとなくセコい感じのプレファブのヤキトリ屋がある。ヤキトリ屋の中は狭い。カウンターのみで5席しかない。営業時間も短い。夕方4時から晩9時までしか開いていない。じいさんひとりでやっている店なので、年金生活者の老後の楽しみとおぼしい。
人間ではなく建物の視点に立てば、こんなに近くにいるのに時計台とヤキトリ屋はおたがいの存在に気づいていない。視界をさえぎる駅舎やマンションがなければ、とっくにおたがいの姿を認めてもおかしくはなかっただろう。
だがこれまでにそんな機会はなかったし、これからもありそうにない。そしてたぶん時計台とヤキトリ屋の無言の均衡のなかにこの駅周辺の静けさの核心がある。
(ネタの幅が狭くてすいません。ちなみにヤキトリはタレと塩全品1串80円。サワーは濃い目のいかした店です)