人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ヤキトリ屋こーちゃんの変貌

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今年二月の大雪の日にもヤキトリ屋こーちゃんはけなげに営業していたわけはなく、けなげに風雪に耐えていたのは看板だけで、いつの間にやらついに臨時休業の張り紙をするのも面倒くさくなってしまったらしい(以前は貼っていた)。開けている時は営業中、閉まっていたら休業中というローカル・ルールができたのだろう。基本火曜定休、営業時間午後四時~九時というのもあって無きがごとしになっていたに違いない。
そしていつの間にか黄色い看板も取り外され、中でガタガタ解体?作業中らしき音がしていたのは夏になってからのことだった。ついにこーちゃんは冬眠から目覚めなかったとおぼしい。なんだか派手にバリバリとやってるなと思ったが、あれは床板を剥がす音だったのに違いない。

床板を剥がして何をするかと言えば、する事は決まっている。ざわわ…。まあ老後に趣味でやっていたような店とはいえ、このほったて小屋の土に返るのならじいさん以って瞑すべし、と言うべきだろう。ツタンカーメンの墓とは言わないが十分立派で、よくこんなプレファブ小屋が飲食店として消防法を通ったものだ。閉店したが、解体はお金がかかるので物置小屋にでもされるのかと思っていた。

だが今日通りかかってみたら店の前が花束だらけではないか。建物自体はほったて小屋には違いないがよく見ればシャッターには彩色が施され、厨房から街路に面した窓も円環状の飾り付けがされている。花束に添えられた祝い状には、創作酒場※※様、と宛名が書いてあった。枯れたじじいの趣味のヤキトリ屋からどうやら小洒落たバーに変わったみたいだ。まだ午前中なので開いていないが、こーちゃんの常連客がこちらにそのまま流れるとは考えにくい。創作酒場ときた。営業時間中ならメニューの看板くらい出すだろうか。

ヤキトリ屋こーちゃんならもうヤキトリの飲み屋以外になかろうが、創作酒場となると料理が創作かお酒が創作かわからない。ヤキトリ屋転じてカクテル・バー(笑)。たぶん「居抜き」、つまり内装設備込みでこーちゃんが創作に売り渡したのだろうが、こーちゃんから買い手を探したのか、創作からこーちゃんに買い取りを申し入れたのか、その辺の事情も気になる。一つ確かなのは、今でもはす向いに謎の中華・正興軒がずどんと睨みをきかせているということだ。