人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

虫垂炎入院日記(5)

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前回でネタも上がったことだし、もう少し赤ちゃん時代の写真を披露するのもナルシスティックかつ嫌味ったらしくて良い機会だろう。座って上機嫌に笑っているのは生後半年、母の手につかまり立ちしているのは生後8か月だ。ぼくはまだ人生の苦汁を知らなかったとみえる。当たり前だと言いたいところだが、この世に居場所がない赤ちゃんだってたくさんいるのだ。ぼくなど呑気に生まれ育ったあげくに躁鬱病なのだから申し開きの言葉もない。

CTとレントゲンを撮られ、病室を割り当てられて採血と検尿があった。検尿は退院前日まで毎回の排尿をすべて(1日約1500ccになった)、採血はほぼ2日おき。こんなにマメに採血された入院は初めてだ。注射はおおむね一瞬で終るが、採血というのは実にじっくりと、ほんの十数秒が数分間に感じられる。マゾヒスティックな人には堪えられないだろう。ちなみに標準70ccだそうだ。食事1食分に当たるのではないか?入院中にぼくの体重は60キロから56キロになったが、身長(170)からすればそれほど痩せ細ったほどではない。24時間点滴+絶食の1週間と病院食の1週間ならこのくらいは減るだろう。ぼくは体重計をもっていないので入院中は寝起きや食事・入浴の前後で体重計に乗るのが面白くて1日に何回も乗ったものだ。暇な病人に楽しみなどそのくらいしかない。

ぼくの入院はほとんど拉致監禁みたいなものだったが、通常ならこれもあり得ないことだ。行き着けの内科医院だからぼくが生活保護医療で精神疾患の自宅療養だということも周知している。だったらさっさと入院させるに限る。もし仕事を持っている人間だったらこうはいかなかったはずだ。その上家族もいないとあっては行き倒れの病人を保護するようなもの。
またかよ、しかも今度は虫垂炎だって?精神疾患以外の入院が初めてになるのと同様、ぼくは日帰りの手術すら受けたことがない。いったい自分がどういう目にあうのか想像もできなかった。仮に手術になるとしても、手術未体験の人間にはまるでイメージが湧かない。盲腸を散らして治す、という話は聞いたことがあった。散らす?ぜんぜんわからない。

だから検査の結果、
「炎症止めの点滴で治療します」
と言われても何のことだかわからなかった。水を飲みたかったが駄目だという。
「しばらくは点滴だけです。食事も炎症が引いてからになります」