「じゃあきっと足むずむず病だ」
と主治医のK先生は言った。ぼくは耳を疑った。「足むずむず病、ですか?」
「そう」
「それはどうなるんですか?」
「足がむずむずする」とK先生、「昼間は何ともないけど夜横になると足がむずむずして眠れない」
「なるほど、ぼくの症状そのままですね。本当にそんな病気あるんですか?」
「あるんだよ」
「訪問看護のAさんは入院した時の点滴の遅効性副作用だろうと言っていましたが」
「そんな例聞いたことないな」
「原因はメンタル系ですか?」
「原因は不明なんだ。でも薬はあるから試してみよう。これで治らなかったら他に原因があるってことになるし」
薬局で処方の説明文を読み驚嘆。ぼくは躁鬱でデパケンという薬を服用しているが、これはてんかんの発作を予防する薬でもある。足むずむず病の薬はビ・シフロール、なんとパーキンソン病の薬だった。レナードの朝!これで尿酸値が高まり痛風にでもなれば風が吹いても痛い。
午前中にメンタル・クリニック済み、サンドイッチの昼食、8枚切り4枚。ハムとチーズで2枚、チョコレート・ペーストで2枚。ハムより薄切りベーコン、チョコペーストよりピーナッツ・バターの方が好みだと再認識しつつ、あー午後はまた別の医者だよ、と思う。今日は9月12日、ということは出所して満4年だ。
ぼくは2007年9月13日に執行猶予3年つきの有罪判決を受けて横浜拘置所を出てきた。実家に一晩だけ泊めてもらう以外、何のあてもなかった。
隣町の病院までは電車とバスを乗り継ぐ。駅に着くとロータリーにアンパンマンバス発見。この町の「やなせ幼稚園・保育園」や「栗原幼稚園」はバスや壁画もアンパンマンなのだ。
痛~い採血を終えて検査結果まで小1時間待つ。携帯電話使用可能スペースに行ってコメントくれた方々にリコメ書いて院内送信。
ぼくの番になる。炎症反応は完全に消えたが虫垂とは特定できないとのこと。肝臓は健康。腎臓はエコー撮るたびに健康な時とやや変型している時があり今後も定期的に健診。そして問題の尿酸値は月1回受診し服薬することになった。
帰りはまた駅前のスラムを覗き、古本屋で「オーウェル著作集1920-1950」全4巻、荒川洋治詩集「チューリップ時代」共に稀覯書を文庫本並の値段で購入。〆はやっぱり牛丼屋でしょ。