人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ボブ・ディラン『ベイビー~』

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ボブ・ディラン(Dylan,Bob・本名ロバート・ジンメーマン/1941-)はアルバムを聴いたことがない人、ましてやライヴを見てしまった人には信じがたいと思われるが、かつては本当に天才だった。得にアルバム第二作「フリーホイーリン」1963から第七作「ブロンド・オン・ブロンド」1966までの時期は神がかっていたのは近年編集されたドキュメント映画「ノー・ディレクション・ホーム」が証明する。異様なまでのオーラを放ち、完全にステージを異空間に変えている。
取り上げる曲はディランがフォークからロックへ転向したアルバムより。バーズ、13thフロア・エレヴェーターズ、チョコレート・ウォッチ・バンドなど硬派のバンドが好カヴァー・ヴァージョンを残している。「ミスター・タンバリン・マン」「ライク・ア・ローリング・ストーン」に準ずる代表曲だろう。

『イッツ・オール・オーヴー・ナウ、ベイビー・ブルー』

行くんだよ、いるものをもって
長持ちすると思うものを
とにかくとっておきたいものは
さっさとつかんでしまえ
彼方に立つのはきみの孤児、銃をもって
太陽のなかの火のように泣いている
見なよ聖人たちがやってくるじゃないか
すべてはおわったのさ、ベイビー・ブルー

ハイウェイはギャンブラーのためにある
きみの感覚を使うんだ
偶然から集めたものをもって行け
きみの街角からきた素手の絵描きは
きみのシートに狂気のパターンを描いている
この空もまた、きみの下で折りたたまれていく
すべてはおわったのさ、ベイビー・ブルー

きみの船酔いの水夫はみんな漕いで帰っていく
きみのトナカイの大群はみんな家路についている
きみのドアを出たばかりの恋人は
床から毛布をぜんぶ剥ぎとってしまった
きみの足の下の絨毯さえ巻きとられてるじゃないか
すべてはおわったのさ、ベイビー・ブルー

踏み石はそのままにせよ なにかがきみを呼ぶ
のこした死者は忘れろ
彼らはついては来ないよ
きみのドアを叩いている浮浪者は
かつてきみが着ていた服を着ている
新しいマッチを擦って
新しく始めればいいさ
すべてはおわったのさ、ベイビー・ブルー
(アルバム「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」1965より)