人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ザ・テンプターズ( 後編)

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テンプターズの魅力は独特の翳りにあった。リーダー松崎由治グループ・サウンズ界ではブルー・コメッツの井上忠夫、スパイダーズのかまやつひろしに次ぐバンド内コンポーザーで、バンドの自作曲がレパートリーの大半を占めるのはGS時代にあっては稀なことだった。当然バンドのカラーはリーダーの書く楽曲に自然に統一される。
また、どんな過密スケジュールでもレコーディングをメンバー自身がこなしていたことも魅力的なアルバムの仕上がりにつながった。これはテンプターズをプロ・デビューさせたスパイダーズの田辺プロがスパイダーズの成果から同じレコード会社と決めた方針で、渡辺プロのタイガースとは逆を行くものだった。スタジオ・ミュージシャンはうまいが大味なものになる。テンプターズのような繊細な演奏はアマチュア的仲間意識から生まれてくるものだ。
メジャーであるタイガースの裏がテンプターズだったのだが、一方テンプターズは本物のアンダーグラウンドであるジャックスの裏でもあった。テンプターズの活動場所はメジャー・シーンだったからだ。ここでシングルのリストを、実質的にテンプターズテンプターズだった作品までを挙げる。

・忘れ得ぬ君/今日を生きよう(67.10)
・神様お願い/涙を笑顔に(68.3/#2)
・エメラルドの伝説/僕たちの天使(68.6/#1)
・おかあさん/秘密の合言葉(68.9/#9)
・純愛/涙のあとに微笑みを(68.12/#8)
・雨よふらないで/ひとりぼっち(69.3/#21)
・帰らなかったケーン/静かな嵐(69.7/#31)

以上、アルバムでは「イン・メンフィス」以前までに当たる。田辺プロは萩原の独立を図り、同作は萩原単独のアメリカ録音となった。バンドの人気は凋落し、以後5枚のシングルを出したが振わず、解散後に後期シングルを集めたのがアルバム「アンコール」で、聴いていると物悲しい気分になる。一応リストにしておこう。

・エブリバディ・ニーズ・サムバディ/君のいない世界(69.12/#83)
・愛の終り/青春の叫び(69.12)
・復活/俺のものはなにもない(70.3/#61)
・出来るかい?出来るかい?/愛の葬送(70.7/#79)
・若者よ愛を忘れるな/理由なき反抗(70.10)

急激な成功も凋落も、彼らには相応しかったのかもしれない。