人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ジョン・レノンのアルバム(序)

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ジョン・レノンは生きていれば今年で71歳になる。ひとつ年下のボブ・ディランが予想しなかった大復活を遂げ、ビートルズの盟友ポール・マッカートニーアメリカのライバル、ブライアン・ウィルソン(ビーチ・ボーイズ)も中年時代の不遇を拭って新鮮な音楽活動を続けている現在、運命のように暴力的な死に見舞われたレノンは40歳から永遠に歳をとらないままでいる。

ご存知の通り、ジョンの遺産は未亡人の手によってさまざまに活用されてきた(「アンディ・ウォホール日記」を読めば未亡人は夫の死後も次々と恋人が絶えないニュー・ヨークのスーパー・セレブなのがわかる)。特に問題の1曲は『イマジン』で、これはポールの『レット・イット・ビー』以上に政治的意味を負わされてきた(ポールの場合は自分からだが)。生前にジョンがそうした意味をこの曲に込めたかは大いに疑問がある。
また『イマジン』の鮮度が落ちた時には『労働者階級の英雄』をテーマ曲にしたベスト・アルバムが組まれる。いずれも未亡人主導のプロジェクトで、自身がアーティストである未亡人にとってジョン・レノンは独占的に活用し得る資源-しかもほとんど万能の素材になっている。ビートルズほど強力なブランドはエルヴィスをもかすませ、ポップスの世界では匹敵するものがない。

63年のデビューから66年まで、ビートルズは年に2枚(アメリカでは3枚)のアルバムを発表している。当時のロックはポップス界の水物と見倣され、本人たちもそう思っていたから、年間200本あまりのコンサートにテレビ出演、映画出演までこなしながらほぼ全曲を書き下ろしのメンバー自作曲で作り出してみせた。
それはビートルズに限らない。ビーチ・ボーイズボブ・ディランザ・バーズも(以上アメリカ)、ローリング・ストーンズキンクスザ・フーも(以上イギリス)、スパイダースもブルー・コメッツも(以上日本)そうだ。
だがどのバンドも総合点ではビートルズとは比較にならない。ジョンの歌声は聴く人の心を貫く。

前述の通りジョンの作品は『イマジン』『ハッピー・クリスマス』『労働者階級の英雄』『スタンド・バイ・ミー』(カヴァーだが)そして遺作『スターティング・オーヴァー』など曲ごとに語られることが多かった。次回からアルバム単位で、ジョン・レノンの作品を追ってみたい。