人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

日記(4月13日・金曜/晴れ)眠い日

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カレー皿は割ってしまったが平皿ならある。カレーをご飯で囲むように盛りつければなんとかいける。スパゲッティは自分勝手に円盤形に丸まるが、ソースと絡めれば崩れない。得意な人なら簡単に解析した方程式を書きそうだ。もっともご飯とパスタでは力学的にずいぶん違いそうではある。汁が水っぽいもの、たとえば親子丼などはこの平皿には不向きと思われる。しかしぼくは玉子料理を食べる習慣は横浜拘置所の中庭運動場に捨ててきたので、なんら痛痒を感じない。でもぼくのような人間であっても、まともなカレー皿くらいはほしいものだ。一枚でいいんだから。

金曜はアベさんの訪問看護。生活相談と病状相談は精神疾患の独り暮らしには不可分なものだ。アベさんは小一時間相手をしてくれるので、精神科の問診(15分前後)の予習にもなる。それで今週は?今週はずっと寝たきり、ひきモコり(ウケない)。
「なにか原因に心当たりはありますか?」
「そうですね。K先生に福祉課担当者と相談してアルバイトでも、と奨められました。それでドーンと落ち込んで。幻聴も幻覚も月に2、3度ある。パニック発作寸前になる回数も同じくらい。人目を避けて最小限の時間しか外出せず、最小限の時間しか起きていない。外出すると帰ってこれない恐怖がある。必要以上起きているとだんだんつらい気持になるからです」
「K先生には調子の悪い面は話さないんですか?」
「全体的には季節も春になって、ひきこもりに徹して安定しているから、調子の悪い方の話にならないんですよ」
毎回小一時間話していくアベさんの方がよほど詳しい。

デイケアですら3週間持ちませんでした。あっという間に躁転してしまった。教会にすら通えない。世間はぼくには騒がしすぎる。バイトしても数日でケンカしてクビでしょう。拘置所から出てきて、ひとりやふたり殺せる気分だった。あの時みたいに」
「福祉課の担当者の方も変わったんですね」
「はい。女性です」
「うーん、わかりますよ。教会で女の人たちと接するのはアウェイじゃないですか。でも福祉担当というとホームグラウンドですからね」
「ええ」と、意味は理解できなかったがたぶん適切な比喩だろう、あいずちをうちながら考えた。ぼくはどん底をはるかに見下ろしてやきもきしているだけだ。だけど、これまで必ずなんとかなったじゃないか。