人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(6)ピュルサー&アトール

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フレンチ・ロック第六回はピュルサー(1975-)とアトール(1974-)をご紹介する。ピュルサーを先に置いたのは、結成が66年に遡る、下積み時代が長いバンドだからだ。
アンジュ、ゴング、マグマ、カトリーヌ・リベロ+アルプに次いで、前回準A級のトップにエルドンを持ってきたのは筆者の趣味でもあるが、前記の巨匠たちとは音楽的にまったく異なるからでもある。ピュルサー、アトールモナ・リザ、タイ・フォンなどはだいたいアンジュから派生した。エルドンと並ぶ突然変異にワパスーがいる。この連載は(6)ピュルサー&アトール、(7)モナ・リザ&タイ・フォン、そして(8)ワパスーで完結予定だ。

実は日本のロック愛好家にはアンジュとリベロ+アルプは今一つ人気がなく、マグマとゴングに突出した人気があり、次いでアトールとピュルサーだと思われる。マグマとゴングは70年代から日本盤も出ており、アンジュも出ていたがセールスは下回っていて、リベロ+アルプは日本盤は出なかった。

アトールの日本デビュー作「組曲夢魔』」は「フランスのイエス」のキャッチ・コピーで発売され、先輩ピュルサー(こちらは「フランスのピンク・フロイド」)の「終末の浜辺」を凌駕してフランスのロックを聴かないリスナーにも売れた。ここでこの2組の70年代作品を挙げてみよう。

ピュルサー
○ポーレン(1975)
○終末の浜辺(1976)
ハロウィーン(1977)

アトール
○ミュージシャン-マジシャンズ(1974)
組曲夢魔」(1975)
○サード(1977)

この後80年代にどちらのバンドも1枚ずつ出して解散する。だが90年代に復活し10年1作ペースで活動している。
なにしろ全盛期のアルバムが3作ずつだからどれも代表作、あとは好みで、と言ってよいが、ピュルサーなら「ハロウィーン」(画像1)、アトールなら「組曲夢魔』」(画像2)で決まりだろう。長所短所ひっくるめて他のアルバムも捨てがたいのだが、実力以上にマジックが働き冴え渡ったのがこの2作といえる。

ただし「ハロウィーン」と「組曲夢魔』」は対照的な運命を辿ったアルバムだった。アトールのアルバムは出世作となり、ピュルサーはまったく反響を呼ばずバンド解散への原因となった。どちらも今では70年代フレンチ・ロックの金字塔とされる名作なのだが。