ただし後、大物は今回のフォルムラ・トレ、後身バンドのイル・ヴォーロ、実は大物に入れたくないレ・オルメだからそこまでで10回、後は2~3バンドずつ束にして14~15回もあればいけるだろう。
フォルムラ・トレはプレミアータ・フォルネリア・マルコーニ同様ルチオ・バティスティ子飼いのバンドだからオザンナ、トロルスより格上、プレミアータの次くらいに持ってきてもよかった。そこまで高く評価できない理由は第一作「怒りの日」1970(画像1)の全曲、第二作「フォルムラ・トレ」1971冒頭の11分におよぶハード・ロック曲を聴けばわかる。特に第二作は全曲がイタリアのポップス界最高の作詞・作曲コンビと呼ばれたモゴールとバティスティの書き下ろし共作で、さぞかしイタリア人の琴線には触れまくりだろうと思われる。
しかしフォルムラ・トレの場合は日本人の琴線からはややずれていると思われるのだ。ラディウス(ギター、ヴォーカル)、ロレンツィ(オルガン)、チッコ(ドラムス、ヴォーカル)がトレのメンバーだが、あまりにタメの効いた演奏には悶絶する。これまで取り上げたどのバンドよりもヘタだと感じる。だがそう感じるこちらの耳のほうに偏見はないか?
トレは第三作「夢のまた夢」1972(画像2)でようやくプログ・ロック路線に挑戦、次作「大いなる館」1973(画像3)でラスト・アルバムを迎えた。なかなか充実した出来栄えだが、1~2年後発のトロルスやオザンナより5年くらい古く聴こえる。アメリカのヘヴィ・サイケのヴァニラ・ファッジ、アイアン・バタフライのように聴こえるのだ。一方三大バンドやトロルス、オザンナは英米ロックに追い付いていた。そしてトレは発展的解散をする。