5月から6月にかけて英米圏以外の70年代ロックをご紹介した。フランス8回、ドイツ14回、イタリア24回、日本は1回にまとめた。この回数は重要度とは必ずしも一致しない。イタリアのロックがフランスのロックの3倍面白いというわけではない。
だが仏独伊が非英米ロック三大国なのは70年代に限れば順当で、作品傾向的にも英米+仏独伊でその他の国をカヴァーできる。もっとも各国に他国の影響と無縁に独自進化したアンダーグラウンドの系譜があり、むしろそれをカウンター・カルチャーとしての本流と見れば各国のロックも必ずしも欧米ロックに包括され得ない存在感を主張し得ると言えるだろう。日本のロックは「ジャックスの世界」「はっぴいえんど(ゆでめん)」「頭脳警察セカンド」の3枚を抜きには語れない。
改めて聴き返して、取り上げるべき国としては、
○フランス語圏カナダ
○オランダ
○スウェーデン
○スペイン
○アルゼンチン
などは70年代ロックの収穫がある。フィンランド、デンマークはスウェーデンより小粒になる。ブラジルは大国なだけアルゼンチンのような純度に乏しい。ギリシャもシーンが形成されたというほどではない。
まずフランス語圏カナダのバンドをご紹介する。英語圏のバンドではフランク・マリノ&マホガニー・ラッシュ、トライアンフ、ラッシュらが国際デヴューしていたが、ケベックを中心地とするフランス語圏では非常にフランス本国と似た音楽性のバンドが現れた。上から、
○アルモニウム「五番目の季節」1975(画像1)
○オパス・サンク「潮流」1976(画像2)
○ポーレン「極彩色の宇宙」1976(画像3)
このうちアルモニウムはアルバム3作とライヴ盤を残し、第三作の2枚組「エプタード」が最高傑作として名高い。クラシカルなフォーク・ロックのグループで、穏やかなヴォーカルにフルート、ヴァイオリンのアンサンブルが美しく、今でも伝説的な人気があるようだ。フランスのピュルサーやワパスーに似たサウンドだが、同年だから影響ではない。
オパス・サンクはピュルサー、ポーレンはアトールを連想させる単発バンドだが、やはりアルバム発表年度から影響はないと見られる。やはり今もCDが発売されているところから見るとカナダでは大事にされているのだ。