人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

生活扶助基準の「改正」について

生活保護受給者には、毎月「ふくしニュース」という広報が福祉課から送られてくる。以前訪問看護のアベさんに見せたら「実物を見るのは初めてです」と熱心に見ていたが、二重の意味でアベさんは驚いていた。まず文面が冷たいこと。突き放している、と言ってもいい。今月分から例を挙げよう。

★小・中学生のお子さんがいる方へ
1.小・中学校では学校保健安全法の規定により各種検診を実施しますが、お子さんの受診を指導された場合は学校教育課に「学校保健安全法医療券」で受診できる疾病かをお問い合わせ下さい。
2.その他、学校から請求があったものは必ず学校に支払って下さい。

★小学6年生、中学3年生の修学旅行費について
・学校で修学旅行費の積立ての集金が開始されます。修学旅行後に学校または学校教育課から修学旅行費の一部が支給されます。
・節約をして積立てをして下さい(なお、貸付事業はありません)。

-これでは士農工商生活保護世帯、ではないか。子供の健康や義務教育すら制限を受けてしまうのだ。
アベさんが驚いていたのは漢字がすべて総ルビだったのもある。ぼくの父はひらがなとカタカナしか読めなかった、と説明した。アベさんには、ひらがなとカタカナしか読めない教育層の存在はショックなことのようだった。

「主治医の見立てだとぼくは一級相当だそうです。でもいただいている支給額は健常者と同じなので、日常生活はとても困難です」
「それはなんとか工夫していただかないと」
というのが福祉課のMさんとの会話だった。これは昨日届いた広報の伏線になる会話だった。

★生活扶助基準等の改正について
・平成25年8月分から基準そのものが引き下げられるので、生活保護費は下がります。引き下げられる額は世帯でばらつきがありますが、現行の基準生活費の10%以内となります。
・今後はより一層の節約に努めていただくようお願いします。

生活保護制度ですら国民憲章の「健康で文化的な生活」が建前だが、現実はこれだ。本来是正すべきは最低賃金の引き上げと雇用の促進だろう。実態は生活保護世帯への侮蔑的民意に乗じた福祉切り捨てだ。
働きたくても働けない、働きたくても仕事がない事情は誰しも起こりうる。「改正」とはよくも言ったものだ。収入が10%減るのを想像すればわかる。生活保護で生きてみればわかる。