人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出14

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・3月7日(日)雨
「明日は第二病棟に移るので、今日中にKくんの症例予測をできる限り作っておこうと、せっせと少しずつ書いては見せ、ことごとく思い当たると驚愕される。彼との応答からさらに推定し、半ば問診に近くなり、夕方までに双極性障害からくる症例と人格障害の事例を80項目以上におよぶリストにする(注1)。退院したらこれを絶対本にしよう、売れるぞ!とKくん盛り上がる。21時消灯後デイルーム消灯の23時まで日曜洋画劇場ザ・シューター』MさんKくんと三人で観る。病室に入ったが、昨晩同様午前一時まで眠れず追加眠剤

・3月8日(月)曇り(注2)
「入院後満一週間。朝会後すぐにヘルパーさんから部屋移動。風呂上りのMさんや煙草を買って来たKくんに驚かれる(午後の清掃時間頃かねえ、と話していたのだ)。移室後ベッドや棚をセッティング、ヘルパーさんから説明を受け、看護婦さんから酒歴レポート用紙渡される。二週間学習後提出とのこと。酒歴の欄はさっさと書く。昼食時見ると、患者数は第三病棟とほぼ同数。午後一時にラジオ体操、一時半から掃除」

「二時から酒害教室ビデオ鑑賞会。感想文を書き一人ずつ発表。猫かぶり(ぼくもだが)かピンボケの感想ばかりの中で、あまりに一方的な内容で納得がいかない、と発言した人がいたので後で話しかけたら、真剣に断酒を目指している68歳の元画家さんだった。CGやコストダウンで5年前に依頼を失ったのがきっかけでアルコール依存症になったという。あなたは高校生ですか?と真顔で訊かれ、たまたま通りかかったFさんをつかまえて、この人は46歳、ぼくは45歳ですと説明する(高校生でアル中入院だったら大変だ)」

「Fさんはこの病棟で最初に話した人で、若い人が来てくれて嬉しいですよ、いや若くもないですよ、と喫煙室で歳の話をしたのだ。級長タイプ(注3)。その後喫煙室でまだあいさつしていない初老の男女患者がいたので今日から来ました、よろしく、と仁義を切り、さっき画家さんに高校生ですか?と言われちゃいましたよ、と言うと、せいぜい25,6歳よねえと言われる。それから荷物の整理していたら看護婦に、面会室に第三病棟のKさんが来てますよ、と呼ばれる」(続く)

(注1)後日掲載。
(注2)この日から日記が徐々に長くなる。
(注3)酒癖は最悪な人だと後でわかった。