人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出43

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・3月20日(土)晴れ
(前回から続く)
「断酒会のかたがたの熱いスピーチ中も、今日のアルコール病棟はなんだか疲れていて、非アルコール(一般精神疾患)組は部屋にこもるか、ちょうど女性の入浴時間だから女性は入浴するかで、アルコール組はプログラムの一環だから煙草は喫えない。終了してやれやれ感がただよい、一気に喫煙室が混雑する。人が出入りするたびに多幸症のKdさんが(注1)お疲れさまでしたー、とねぎらってもやはりデイルームの空気はどんよりしていて、それでも夜9時からの地下鉄サリン事件検証番組はギャラリーが多く(注2)、半数以上の人が見入っていた。途中リタイアの人も多かったが…なんだか長い一日だったように感じる。日記もだらだら長くなった。『不道徳講座』の続きも、せっかくFさんに買ってきてもらった『レコードコレクターズ』の最新号も、いつもは半日で読むのに次号予告しか見ていない。次号〈リイシューCDベスト100〉?表紙も含めてリニューアル誌面とのことだが、ここ数年でテリトリー狭くなって(ロック系ばかり)特集にもネタ切れ感が強い(注3)」

・3月21日(日)晴れ
〈祝・春分の日
「夜間は雨が降っていたらしい。昨夜は日記を書いていて終ってしまった。朝は平穏。いつもは日曜の朝は金曜夜から週末帰宅外泊する人たちが戻り始めて再び病棟がざわざわし始めるのだが、明日は振替休日なので帰宅している人たちは外泊延長していて、朝の会の後もデイルームは閑散としている。さて、昨日の日記を最後まで書き上げて(追記。昨夜は日記記入に没頭していて就寝前服薬の時刻を忘れ、巡回中の看護婦Njさんにベッドのサイドテーブルで日記を書いているのを見つかり、注意されて中断。それで日記の末尾は今日になって書いている)」
(この日続く)

(注1)別に病気ではなく、この小柄でお嬢様育ちのおばさんはいつも陽気で、病棟の空気を明るくした。
(注2)この手記は2010年、地下鉄サリン事件は1995年になる。もうすぐ2014年を迎える今思うと、この数年であの事件は急速に風化したように感じる。
(注3)この年の12月に躁鬱病の悪化で別の再入院(通算4回目、現状で最後の精神入院)したのをきっかけに20年来購読していた同誌の購読を止める。躁鬱病の再悪化はアルコール科入院中にできた人間関係が原因だった。