人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記196

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(人名はすべて仮名です)
・4月22日(木)雨
(前回から続く)
「午後は環境整備だが、今週は掃除機当番に当っているので、大型掃除機の扱いは面倒だが、マイペースでできる仕事なのはありがたい。数人ひと組で何かやると、親しい同士ならともかく、かならず内輪揉めが起る。同室で仲が悪かったりすると目も当てられない。主治医からなるべく関わらないように、というのはそういう事態だ。幸いこれまで同室で、というのはないし、退院までもあと一か月ほどだからいきなりの部屋替えで坂部や河出と同室、なんていうこともないだろう。あっても断れる」

「午後のプログラムはグループワークで集団療法室クラスだが、いつも発言をパスすると怒る滝口さんが今日は三田さん・金田さんたちと女性AAに行っているので遠慮なく発言をパスできる。テーマは自助グループだったが、司会の精神保健福祉士・今井さんの説得空しく、全員が自助グループは補助にはなっても命綱にはならない、と否定的な意見で一致してしまう。つまり自助グループに参加しても断酒の意志につながるとは思えない、ということで意見が一致する」

「昨日AA創設者とAAの実績についてのビデオ学習しても患者にはこの程度の学習効果しかないわけだ。むしろ地味な酒害教室、薬剤教室を何度も聴講する方が飲酒を抑制する効果があるように思える。…夕食は明朝退院の清水くんの結婚生活の苦労話がドッと出て、清水くんはしゃべり疲れて寝に行き、梅崎さんや金田さんもくたびれて寝に行ったので、勝浦くん・滝口さんと清水くん退院後は大丈夫だろうか、と話す」

「勝浦くんが一服しに行って、滝口さんは先に退院するからおれの酒歴発表は聞かないね、こないだから離婚のいきさつ訊かれてはぐらかしてたけど、いい機会だから話すよ、と話しているうちに消灯になる。勝浦くんは知っている話なので先に寝に行き、ずっと自分たち以外デイルームは無人だったのでテレビのニュース番組を小さな音で流しながら話した。裁判が決定して留置場から横浜拘置所に押送されたところで消灯になる。滝口さんの質問や法的説明もあって長くなってしまった。また明日、おやすみなさい。夜勤の巡回に一服して寝ます、と断って一服。夜間は二人以上喫煙室にいてはいけない規制なので、出ると尾崎さんが廊下で待っていたところだった。おやすみなさい」